日本食の中でも高級な食材とされるふぐ。
そんなふぐ料理をつくるさいに、活きふぐが使用されている事をご存じでしょうか。
活きているふぐが使われているといっても、全てのふぐ料理に活きふぐが利用されているわけではなく、料亭などのふぐ刺しなどに基本的には活きふぐが使用されていますよと言う話です。
ですから唐揚げ用や鍋用などの場合には、冷凍や冷蔵物も多く利用されています。
そんなふぐ料理ですが、なぜすでに捌いたふぐではなく活きふぐなのでしょうか。
注文を受けてから〆て捌くよりも、予め捌いていた方が早く提供できますし回転率も上がるのでお店にもお客にも良いですよね。
通販などで注文するふぐ刺しは基本冷凍ですから予め捌いておくことがダメなわけではないでしょう。
ではなぜ活きふぐが基本的に利用されているのでしょうか?
今回はふぐ料理に活きふぐが使用される理由についてご紹介します。
□活きふぐとは
なぜ活きふぐを利用するのかと言うお話をする前に、活きふぐが何なの?と思う人も少なくはないですよね?
ふぐによらず活け物と言うと、生きている魚を指します。
活魚料理とか言うのと同じなのですが、お店に入った際に生け簀や水槽などで生きている魚が泳いでいる光景を見たことがある人も多いですよね。
おそらく日本で生活していてある程度の年齢であれば、基本的に見たことが無いという人は少ないでしょう。
活け物を使うと豪華に見えるとかそういうレベルで活け物を使用しているのではないようですが、なぜふぐ料理は活け物ではなくてはダメなの?と思えてきたのではないでしょうか?
□活け物が使われる理由は?
ふぐ料理に活け物が使われるのはなぜかという話なのですが、基本的ふぐは捌きたてが美味しいといわれているからだといわれています。
しかしこれは少し間違っているのです。
基本的に生きている状態から〆た場合や捌いた場合には、身にうま味成分が満ちていません。
確かに歯ごたえはプリっとした状態ですので、歯ごたえはあるかもしれませんが美味しいかどうかというと、まぁ美味しいくらいの程度と考えて良いでしょう。
通常捌いて20分くらいすると身にうま味成分が出始めますので、食べ終わるころにはふぐ刺しも美味しくなっているという事になりますよね。
またふぐ刺しが食べられる現場って、何となくお酒を飲みながらワイワイやっているイメージが無いですか?
お酒を飲みながらワイワイやるのですから、ふぐ刺しもあっという間にはさすがになくなりませんよね。
良いところ1時間くらいは残っている状態ではないでしょうか。
という事はできる限り新鮮な状態ふぐを出さなければ、完食までにふぐが傷んでしまう可能性もありますので、できる限り新鮮なふぐを提供しようと思ったら生きた状態のふぐを捌くという事になるのです。
□ふぐ刺しを食べるルール
一般的に刺身を食べる際に、板前さんが盛った方向と逆に食べ進めていくと綺麗な状態がいじされるため、内側から並べられている物は外側から、外側から並べられたものは内側から食べるというのがマナーとなっています。
しかしふぐ刺しを食べる際にこの方法で食べ進めると美味しいふぐ刺しを食べられませんので注意が必要です。
どういうことかと言うと、ふぐ刺しを作る際に活きているふぐを使用していますので、刺身になって時間が経っていません。
時間が経っていないという事は、前述したように身にうま味成分が充実していないという事になります。
盛られて時間が経っている方が、うま味が充実していますので、盛られた方向から食べるとふぐの味をしっかりと味わう事ができるため、盛った方向から食べるのがルールだという人が多いようです。
□盛られた方向と反対方向から食べても問題はない
ふぐを食べる際に盛った方向から食べるのがルールだという人が多いとお話ししましたが、実は他の刺身同様に盛られた側と逆側から食べても問題はありません。
というのもふぐ刺しは本当に芸術作品かと思うほどに綺麗に盛られています。
ふぐは薄く引かれるため絵皿に盛られている事が多いですよね。
この芸術作品のようなふぐ刺しを盛られた側から食べてしまうと、盛り方が崩れてしまい目で楽しむ事が出来なくなってしまいます。
そのためふぐ好きの人の中には、最後まで綺麗なふぐ刺しを楽しみたいと思う人も多く、盛った反対側から食べる人も多いのです。
□ふぐを食べる時は好きに食べるのが一番
ふぐを食べる際には活け物だからどちら側から食べないといけないなんて考えていると、美味しく食べる事ができませんので、好きな方向から食べるのがオススメです。
言ってみれば盛った側から食べたい人も盛られた逆側から食べたい人も、自分の好きなように食べて居るだけなのです。
そんな事に気を取られるよりもふぐの味や歯ごたえを感じる事の方が遥かに大切な事であり、ふぐを美味しいと感じる為にはとても大切なことなのです。
皆さんもふぐを食べる機会があったら、好きなように食べてみてはいかがでしょうか。