「ふぐの白子には毒がある?」
ふぐの白子と言えば、濃厚な旨み故に多くの食通を唸らせるとても人気のある部位ですよね。
産卵期などの季節には、白子も肥大していて、通常より栄養豊富で味もしっかりしている為、ふぐ本体よりも金額が張るような高級食材でもあります。
そんな、多くのセレブが愛してやまない高級食材に有毒なものがあるという噂を聞いたので、その真相に迫っていきたいと思います。
■ふぐの白子とは
そもそもふぐの白子とは、雄の精巣の事で、当たり前ですが雄のふぐにしか無い臓器です。
この精巣は、産卵期前の時期には雌のふぐとの交尾に備えて肥大していきます。
この肥大しきった白子は白子ファンの間では白いダイヤとも呼ばれるほどの高級品なのです。
それもそのはず、全てのふぐにあるわけではないので、確率的には2分の1なので、ふぐ本体よりも高くなってしまう事は納得できることでしょう。
そんな高級品を一度食べたいという方も多く居らっしゃるのが現状ではないでしょうか。
■ふぐの白子による中毒
2009年に山形県の飲食店で、ふぐの白子を食べた方が7人も意識障害になるなどの中毒事故が起きています。
この事故を知っている方の中で、ふぐの白子にも毒があるという認識がなされてしまったのではないでしょうか。
一般的には、ふぐの白子には毒が無いと言われているにも関わらず、なぜ白子で中毒事故が起きてしまったのでしょうか。
それは、店主のふぐに関する知識が浅すぎたことが原因だったようです。
この店主は、調べに対してとらふぐの白子以外には毒が無いと思っていたと話をしたらしく、間違った知識を持っていたことが分かります。
普通は逆ですよね。
とらふぐの白子には毒が無いのですが、間違った知識からこの店主はヒガンふぐの白子を提供していたのです。
ヒガンふぐとは、最大で30センチ前後に成長するふぐで、皮や精巣に猛毒のテトロドトキシンを含んでいます。
しかし筋肉(身)は食す事ができるふぐで、とらふぐに次いで美味しいふぐであることから、高値で取引をされています。
日本各地の岩礁などに生息しているので、釣り人には馴染の深い餌取りとしても有名な種類ではないでしょうか。
このふぐは別名名古屋ふぐとも言われ「当たると身の終わり(美濃、尾張)」と言われるように昔から非常に恐れられているふぐなのです。
更に、このふぐは岩手県越喜来湾、釜石湾、宮城県雄勝湾で漁獲された個体に対しては食用とする事ができないほどのふぐなのです。
その様なふぐの白子を食べてしまうと、ふぐ毒の中毒になってしまうのは当たり前ですよね。
■白子を食べられないふぐは4種類と1種類
基本的に絶対に白子を食べてはいけないと言われているふぐは、食用22種類の内4種類なのです。
そのふぐというのが、先ほどお話した「ヒガンふぐ、くさふぐ、コモンふぐ、サンサイふぐ」なのです。
このふぐの白子がもしも、提供されるような場合には絶対に食べてはいけませんので、注意してください。
また、ナシふぐについては、白子を食べる事ができる個体もいますが、漁獲される地域によって変わりますので、注意しましょう。
その食用可能な地域というのは、有明海で漁獲され、長崎県が定める要領で処理されたものに限るというような限定をされていますので、このナシふぐの白子が提供された場合にもしっかり確認をする事が大切です。
■とらふぐの白子には毒は無い
という事で、過去の事件を見る限りではとらふぐの白子には毒が無いという事がお分かりいただけたかと思います。
しかし、中には素人調理で白子と卵巣を間違えるという人も居るのが現状なのです。
また、一種の奇形と言われるものもあり素人では判断ができないという事が多々あるようです。
ふぐの毒は、血液中にも含まれるためほぼ全身にテトロドトキシンが含まれているので、素人調理により、本来無毒の白子が毒付きになってしまい、危険なものになってしまう事も考えられるのです。
そのいい例が、ふぐ刺しですよね。
基本的にふぐの身の部分には毒が含まれていないものが多いのですが、毒を含んでいないはずの刺身を食べて中毒症状が現れるケースもあります。
これは、調理の段階でしっかりと調理器具の使い分けや、処理がされていなかったことが主な原因ですが、たったそれだけの事で無毒の部分も有毒になるのですから、とらふぐの白子が素人のずさんな調理によって毒付きになってしまう事は十分にあり得る話なのです。
このように素人調理は大変危険なものだという事がお分かりいただけたかと思います。
しかし、ふぐの白子はとても高価な為自分で釣ったふぐを捌いて白子を食べるという人が多いのも理解できないわけではありません。
しかし、中毒になってしまうと治療代が掛かりますし、最悪の場合命を落とす事も考えられます。
そんな危険な事はせずに、専門的な知識を持った調理師の方が捌いたふぐの白子を食べるようにしましょう。
お金は稼げばいいですが、命は一つだけですよ。
また、今回ご紹介した、白子を食べる事ができない種類以外にも、ふぐそのものが食べる事の出来ない種類が居ますので、絶対に素人判断では調理をしないようにしましょう。