釣り人であれば膨らんだふぐを見る機会というのは多いかと思います。
しかし水族館などでは、自然のままの状態で飼育されていますので、膨らんでいるふぐというのをあまり見ないものです。
そのため、ふぐが膨らむというのは、知っているが実際に見たことがないという方も少なくは無いでしょう。
しかし、ふぐの膨らんでいる姿というのはとても愛らしく、見ているだけでほっこりとした気分になってしまうものです。
そんなふぐですが、皆さんはどこが膨らんでいると思っていますか。
人間で考えてみると、空気をどんなに吸い込んでもお腹だけが膨らみますので、ふぐもお腹だけが膨らむと思っている方も少なくはないでしょうが、ふぐは全体的に膨らみますので、真ん丸に近い形になるのです。
そんなふぐですが、なぜそしてどのようにして膨らむのでしょうか。
今回は、ふぐが膨らむ原理(メカニズム)と膨らむ理由をご紹介します。
■ふぐが膨らむ理由とは
膨らんだふぐを見ているとほっこりしますと冒頭でお話ししましたが、ふぐが膨らむのは勿論見ている人をほっこりさせるなんて言うサービス精神からではありませんよね。
ではふぐはなぜ膨らむのでしょうか。
ふぐが膨らむ理由を考えるうえで重要なのは、ふぐが膨らむタイミングというものがとてもヒントになります。
そこでふぐが膨らむタイミングを考えてみると、釣り人に釣り上げられた時や天敵に捕食されそうになった際に大きく膨らみます。
という事は、ふぐは威嚇のために膨らむという事でしょう。
しかし、実はこの他にもふぐが膨らむ理由があります。
それは、ストレスを感じた時です。
基本的には身を守るために膨らむようなのですが、自然界ではより大きく体を見せることによって、捕食され難くするという方法で身を守っている動物が多いのですが、実はふぐもこの理由で大きく膨らむようです。
実際に、自分がサメなどの大型の魚で、ふぐを捕食しようとしたときに大きく膨らみ食べ難くなってしまったら、食べるのをあきらめてしまいそうですよね
また、ほとんどの大型種は餌を丸呑みしますから、大きく膨らむことにより、喉元を通りにくくなり、吐き出させるためという事も理由になっているようです。
■ふぐが膨らむ原理は
ふぐが膨らむ理由はご理解いただけたでしょうか。
しかし、どうしてふぐはあんなに大きく膨らむことができるのでしょう。
人間や他の生き物はあんなに膨らみませんから、何か体の作りが違うのかなとは、分かっても、どのようになっているのかは謎ですよね。
ふぐが膨らむ原理はどのようになっているのでしょうか。
ふぐの仲間には、胃の一部が変化した膨張のうという袋のような物が体内にあります。
この袋を膨らませて体を大きくするのですが、大体どれくらい膨らむと思いますか。
海外の研究ではありますが、体長20センチのふぐが1Lの水(海水)を飲み、体重は4倍の重さになったというものがあります。
ですから、ふぐは基本的に体重の倍以上の海水を飲み込むことができるという事ですよね。
人間だとおそらく入っていきませんよね。
また、ふぐは膨らむときに水を飲んで膨らむという話が有名ですが、ふぐは水で膨らむと思っている方が非常に多いようです。
確かに先ほどの海外の研究でも、多くの水を飲み膨れていますので、水で膨らむというのは間違いではありません。
しかし、よく考えてください。
釣り人が釣り上げた時にふぐは基本的には膨らんでいないまま釣り上げられる事が多く、針を外そうと触ったときに膨らむという事があります。
この場合水で膨らむはずのふぐは、どこから水を吸収したのでしょうか。
疑問に思われている方のために、ご説明すると、ふぐは基本的には水中にいますから、水中で膨らむ際には水を吸い込んで大きく膨らみます。
しかし、水の無い場所で膨らむ際には、空気を吸い込んで膨らむという事ができるのです。
というのも、ふぐの体のほとんどは筋肉でできている為、水や空気を吸い込むと、その強靭な筋肉で、腸や胃の出口になっている管を決めるのです。
そのため空気でも水と同様に膨らむ事ができるという事です。
しかし、水には体積がありますから体重も増えますが、空気は軽いためどれだけ陸上で膨らんでも体系は大きくなりますが重さは変わらないようですね。
それでも、筋肉で占めている為筋肉も疲労すると緩みますから、しばらくすると空気や水を吐き出して元の体系に戻るようです。
このように、ふぐは大きく体を膨らませる事で、外敵から身を守っているのです。
しかし、この膨らんでいられる時間には筋肉の疲労という限りがある為、一度に膨らんでいられる時間は決まっているようです。
そんなふぐですが、実は体内のテトロドトキシンを含めまだまだ解明されていない事が多く存在しています。
しかし、食べるとおいしいですから、昔から多くの人々に愛されてきたようです。
また、この膨らんだ姿が愛くるしく、ふぐを飼う人も最近では多いようですね。
食べても飼育しても楽しめるふぐですが、毒には注意していきたいものですね。