日本においてふぐは古くから食されていた物であると同時に、歴史の背景で闇に沈んでいる時期があったり、脚光を受けている時期がありました。
そんなふぐ食の歴史というのはさかのぼる事、縄文時代ごろまでになります。
というのも、縄文時代の貝塚にふぐの骨の化石があったという記録があるのです。
そんなふぐですが、山口県の下関市ではふぐにまつわるような物が多くあり、観光地としても、有名になっているのです。
その中でも、世界一として称されるふぐの銅像があるなど本当にふぐを愛している人たちが多いのが下関市のようです。
そこで今回は、下関のふぐの歴史や、世界一のふぐの銅像についてご紹介します。
■下関におけるふぐの歴史
下関が日本一のふぐの水揚げ量を誇り日本でも最大の、ふぐの町だと言われている事は、あまりにも有名です。
しかし、実はふぐが禁止されたのも、解禁されたのも下関だという事はご存知でしょうか。
このような事を言うと、驚かれる方もいらっしゃいますが、これは事実であり史実なのです。
しかしこれがなぜ、皆さんにあまり知られていないのかというと、禁止されていた期間が長く歴史を学んでいく際に、あまりにも時間が経ちすぎる為、禁止令と解禁とがつながらないという事が起こってしまうのです。
そんな、禁止令と解禁ですが、どのようにして起こったのでしょうか。
まず、ふぐの禁止令は、豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に全国に敷かれる事になります。
この背景には、多くの兵士たちがふぐの毒によって命を落としてしまったことが原因だったのです。
というのも、朝鮮に出兵をする際に、下関を集結の場所にされていたのでが、各地から集った兵士たちは、出撃までの間に釣りなどをして時間を潰します。
するとふぐを釣り上げてしまう兵士もいたのですが、地方からやってきた兵士たちはふぐの事を知らずに食べてしまうという事が起きてしまい多くの兵士がここで命を落としてしまったのです。
その為、事件が起こった次の日に秀吉は「この魚喰うべからず」というような触書を出します。
その立て看板に掛かれていたのが、ふぐだったというわけです。
そんなふぐ禁止令はその後徳川の世になっても解除される事は無く、明治21年に日清戦争の終結で有名な「下関条約」を結んだ会議の場で、ふぐが提供されるのです。
この背景には、市場で魚が仕入れることができなかったことにより苦肉の策で料亭の女将が提供したという物があります。
その際に時の総理大臣であった伊藤博文は「これは禁止されている魚ではないのか」というような会話をするのですが、食した後に誰一人として、ふぐの毒に当たらなかったことに感銘を受け「下関のふぐには毒は無し」という言葉とともに、下関市限定でふぐ食を解禁させるのです。
■世界最大のふぐの像とは
ふぐを本当に愛してやまない下関市には、本当に大きなふぐの像があります。
このふぐの像は亀山八幡宮の境内にあります。
もともと昭和9年に作られたふぐの像だったのですが、第二次世界大戦の戦局の悪化により、鉄でできていた土台以外のふぐの部分は軍に没収されてしまい、無くなってしまいます。
しかし、平成に時代が移り変わると、ふぐ銅像再建推進委員会によって復興させようという動きが始まります。
その委員会は有志の方たちによって発足したのですが、なんと再建非には2000万円物お金がかかったのですが、平成2年9月29日に再度亀山八幡宮に建設をされることになったのです。
下関市ではふぐの事を「ふく」と呼びます。
これは全国でも珍しいふぐの呼び方なのですが、基本的にはふぐの危険性から縁起の悪い名前が付けられるのですが、下関では「福」にかけて呼ばれています。
そんな中お気づきの方もいらっしゃるでしょうが、平成2年9月29日というのは「ふくふく」の語呂になっています。
そのことからも、下関の人々また再建に携わった人々のふぐに対する情熱が伝わってきます。
というのも、このごろで再建ができるタイミングというのはこの機を逃すと、数十年間訪れる事がありませんから、意地でもこの日に再建をさせたかったのだという事がうかがい知れるのです。
しかし、このふぐの像の再建が戦後一度も浮上しなかったわけではありません。
やはり莫大な金額が掛かる為なかなか実現しなかったようなのです。
このように、下関のふぐは禁止令や解禁の他にも、食という部分以外ではありますが、戦争によってもシンボルともいわれるふぐの像が無くなってしまうなど、本当に歴史に翻弄されてきているのです。
しかしそんな歴史があっても、下関のふぐ文化やふぐに対しての人々の情熱が失われてしまわないのは、「ふく」という名前通りふぐが下関にとって福をもたらしているからなのかもしれませんね。
そんなふぐに対して情熱を持った人々が沢山いる下関市ですから、訪れた際にはおいしいふぐとふぐの文化に触れることができますので、下関のふぐに会いに出かけてみてはいかがでしょうか。