ふぐと言えば高級魚で美味しいというイメージの方も多いのではないでしょうか。
しかしふぐには猛毒のテトロドトキシンを含んでいますので、危険な魚だとイメージする人も少なくはないはずです。
そんなふぐの肝所謂肝臓にはテトロドトキシンが多く含まれており、ふぐの体内でも特に猛毒になっている部分です。
魚の肝というと、カワハギやアンコウなど多くの肝を食べる魚がいる事から、美味しいと思っている方も多い様で、食べてみたいと思う方も少なくはありません。
その証拠に昔はふぐを提供しているお店にふぐを食べに行って、わざわざふぐの肝を提供させる様に懇願していた人も居たようです。
しかし猛毒とされているふぐの肝ですので、勿論提供をする事は禁止されていますので、食べる方にも提供する側にもリスクがある行為だという事は皆さんお分かりいただけるのではないでしょうか。
今回はそんなふぐの肝を提供して、逮捕された事件をご紹介いたします。
□ふぐの肝と言えば8代目坂東三津五郎
ふぐの肝と検索するとまずヒットするのが、歌舞伎役者の8代目坂東三津五郎ではないでしょうか。
この坂東三津五郎はなぜふぐの肝と検索するとヒットするの?と思う方も勿論いらっしゃいますよね。
この坂東三津五郎はふぐ好きで有名な歌舞伎役者だったのです。
そのふぐ好きときたら、歌舞伎の公演中に板前を楽屋に呼びふぐを食べるほどでした。
ある日の公演中に坂東三津五郎は、楽屋にふぐ料理人を呼びこの日もふぐ料理に舌鼓を打っていました。
この時坂東三津五郎は、ふぐの肝を提供しろと懇願します。
しかし提供が禁止されているふぐの肝ですから勿論、ふぐ調理師は拒否するのですが、それでも食べさせてくれという坂東三津五郎に根負けをし、ふぐの肝を提供するのです。
このふぐの肝を一匹分ではなく、三匹分坂東三津五郎は平らげてしまうのです。
数で言うと三人前のふぐの肝を食べた坂東三津五郎は、その後に坂東三津五郎は命を落としてしまいます。
□なんで一口食べた時点で体調に変化が起きなかったのか・
ふぐの肝を食べた時になぜ死ななかったの?と疑問に思う方も少なくはないですよね。
確かに多くの毒物という物はかなりの即効性が有る為、服用後直ぐに体調に変化が起こってしまう事があります。
ですがふぐの毒であるテトロドトキシンは神経毒である為、体に吸収されてから徐々に麻痺が始まります。
基本的に口にしてから症状が出るまでに早くても20分といわれおり、食べたからといってその場で体調の変化が起こるという事はありません。
その為戦国の世などには、このふぐの肝臓を擦り潰して飲み物に混ぜて毒殺したのではないかといわれる事件も数件発生しているほどです。
即効性が無いから服用させ少し離れた場所で絶命させるという何とも怖い事が可能だったようです。
現代では、ジュラルミンの箱などに鍵を掛けて保管する事が義務付けられているなど、ふぐの肝に関する保管方法が厳しくなっていますので、一般的には絶対に流通していませんので、そのような怖い事にはならないですが、昔は本当に怖い時代だったのだと感じられます。
このようなふぐの毒の性質上坂東三津五郎は、ふぐの肝を三人分食べる事ができたのだと言われています。
因みにふぐの毒であるテトロドトキシンには、解毒剤はありませんのでもしも坂東三津五郎が一人分の肝を食べていたとしても助からなかったのではないでしょうか。
□坂東三津五郎にふぐの肝を提供した調理師はどうなった?
坂東三津五郎にふぐの肝を提供する様に強要され提供した調理師はその後どうなったのでしょうか。
ふぐの肝は提供禁止となっています。
その為どのような事があってもふぐの肝を提供する事は絶対にできません。
例えお客に変な噂を流すと脅迫されても提供はしてはいけないのですが、この調理師は提供をしてしまいました。
確かに渋々であったにしろ肝を出したのは調理人です。
その為調理師には業務上過失致死罪と、京都府の条例違反による執行猶予の禁固刑という有罪判決が下りました。
食べたいと懇願されたから出しましたは理由にならないという事ですよね。
もしも何かしらの脅迫があっても絶対に提供するなという意図もあったのでしょうが、この判決が出てからという物ふぐを取り扱うお店では極端にふぐの肝を提供してもらう事は難しくなったのではないでしょうか。
□食べてはダメなふぐの肝食べたくても我慢しよう!
ふぐの肝は美味しいとどこからそんな噂が流れたのでしょうか。
ふぐの肝を食べても何ともなかったという方も昔はいたようですが、この何ともなかった人々がきっと広めたに違いありません。
ふぐの肝を食べて大丈夫だったのは、ふぐの肝に毒が少なかったからなのです。
そもそもふぐにはテトロドトキシンを作り出す機能は無く、捕食によって体内に吸収蓄積していきます。
その為ふぐの毒の量には個体差が有り、食べても大丈夫という状況になってしまうのです。
ですが、人にも家族にも迷惑をかける事になるふぐの肝ですから絶対に食べてはいけませんし、脅迫などをしてお店側へ提供を迫ってはいけないのです。