ふぐには毒がありとても危険な魚だというのは多くの人がイメージするのではないでしょうか?
しかしそれとは違い冬に旬を迎える美味しい魚であり、その味は淡泊でいくらでも食べる事ができる美味しい魚だとイメージする人も多いことでしょう。
確かにフグは美味しく危険な魚であり、古くから日本人の舌を魅了してきた歴史があります。
中でも下関ブランドのふぐは皇居へ献上されているなど、本当に日本の最上級の食材としての地位を確立しています。
日本食においても非常に高価な食材でありながら根強いファンがふぐの解禁を毎年今か今かと待ち構えているのが現状です。
そんなフグですがにわかにペットとしての人気も出てきています。
それにはフグのぷくーっと膨らむ時の見た目が愛くるしいという事からの様なのですが、このフグが膨らむのはどのようなメカニズムで可能になっているのでしょうか。
今回はふぐが膨らむメカニズムをご紹介します。
ふぐが膨らむのはなぜ?
そもそもふぐはなぜあんなに大きく体を膨らませるのでしょう。
それは自分の体を大きく見せるためだと言われています。
自分の体を大きく見せるメリットとしては外敵に襲われたときに、捕食されにくくなるという特徴があり、結果として身を守る事につながります。
身近で考えていただくと、猫は相手を威嚇する際に毛を逆立てて威嚇します。
この時猫は通常よりも体が大きく見えるのではないでしょうか?
加らどぉ大きくすることで、強いというイメージを相手に与えているわけですが、この行動は毛のない動物にとってなかなかできる事ではありませんよね。
そこでふぐは膨らむという方法を取っているのですが、この膨らむという方法は意外と海の中では理にかなった防衛法だといえるのです。
なぜならば基本的に魚は捕食した獲物を丸のみにするのですが、口の中で膨らまれると飲み込む事ができなくなってしまい、吐き出さざるを得ません。
また目の前で大きくなられると口に入らなくなってしまう可能性もある為捕食される危険性がぐっと下がるといえるでしょう。
ふぐは基本てきに鰭が小さいためゆったりと海の中を泳いでいますので、泳ぎの早い大型の魚に襲われるとなかなか逃げる事ができません。
それをカバーしているのが膨らむという行動の様です。
ふぐの体の構造
今お腹を膨らませてみてください。
どうでしょうか?普段の2倍、3倍に膨らむ事は出来ましたか?
おそらく膨らむ事ができなかったという人がほとんどではないでしょうか。
実は人間の体には鋤骨などの内臓を守るための非常に硬い骨がある為空気を吸い込んでも、水を沢山飲んでも身体を膨らませるという事は基本的にできません。
しかしふぐの場合にはお腹の周りに骨が無いように進化していましたので、水を吸い込む事で胃の中の膨張のうを膨らませ身体を通常の4倍もの大きさに膨らませる事ができるのです。
またふぐの体は、ほとんどがコラーゲンでできているため、弾力があり基本的に体を大きくしたとしても身体へのダメージは全くなく、水を吐き出すと通常のサイズに戻り何もなかったかのように生活ができるのです。
因みにですが、ふぐは水中でなくても膨らむ事ができますので、例えば水鳥などに襲われた場合でも口の中で膨らむことが可能です。
釣り人の人は御存じかと思いますが、ふぐを釣り上げてハリを外そうとしていると、パンパンに膨らむという事があります。
この時小さくなっても水を吐き出す事はなく、空気によって膨らんでいたのだという事をうかがい知ることができるのです。
ふぐの防御は最強?
ふさふぐなどは小さくて愛らしいふぐですが、この小さなふぐも体の4倍程度まで膨らむ事が可能です。
更に小さいふぐでも天然のふぐは基本的にテトロドトキシンを保有していますので、食べると捕食者の命を奪ってしまいます。
この危険な毒と膨らむという行動でふぐは身を守っているわけですから、言ってみれば最強の防御機能だといえるでしょう。
そんな最強の防御をほこるふぐですが中にはイルカなどに襲われてしまう事もあり、絶対的に自分を守るという事は出来ない様です。
特に私たち人間には膨らんでも毒を持ってもしっかりと処理をされて食べられてしまうわけですから、自然界にふぐの天敵はいないと言われていますが、実際のところふぐの天敵は人間だったのかもしれませんね。
フグの可愛い歯にも注意
ふぐの愛くるしい部分と言うと今回ご紹介した、膨らむという仕草と小さな前歯ではないでしょうか?
この前歯は甲殻類や貝類をかみ砕くために使われているため、かなり強力な力を持っています。
ふぐの歯の部分にアルミ缶を近づけるといとも簡単にかみ切ってしまうほどの切れ味なのですが、これが人間の指だと考えるととても危険ですよね。
ですからいくらふぐが可愛いからと言ってもふぐの口元に指を近づけるのはとても危険ですので絶対にしないようにしましょう。