テトロドトキシンという猛毒を体内に持っている事で、素人による調理が危険だとされているふぐですが、ふぐは古来より日本ではとても美味しい食材として多くの人々に食べられてきたという歴史があります。
そんなふぐですから、多くの美食家の下をうならせ、多くの俳句や落語にも登場するなど、日本の歴史を紐解くと必ずふぐに関するものに出会うと言っても過言ではないくらいに、日本人にはなじみの深い魚だと言えるでしょう。
日本でふぐが食されるようになったのは、縄文時代ごろとされているのですが、当時から続くふぐ食の歴史は、今や日本を代表する食文化となっているのです。
しかし最近ではそんなふぐの文化に新しい文化が広がりました。
というのも、ふぐは食すものとして広がっていたふぐの文化なのですがここにきて、ふぐを鑑賞するという事をする人たちが増えてきたのです。
観賞用に飼育されているのは、とらふぐではなくミドリふぐという種類なのですが、このミドリフはインドなどの熱帯の地域に分布しているふぐなのです。
今回は、最近観賞用として飼育されるようになったミドリふぐについてご紹介いたします。
■ミドリふぐの特徴
ミドリふぐは冒頭でもお話ししたように、熱帯地方の主にインドやインドネシア、スリランカやタイなどの比較的暖かい地方に生息しているふぐの仲間です。
このミドリふぐは、基本的居小さなふぐであり、成長をしても最大で17㎝くらいまでしか大きくならないと言われています。
生息域としては、海水域に生息しているのが基本なのですが、汽水性の為淡水域に遡っている事も多いふぐなのです。
植生としては雑食で何でも食べるという非常に、食いしん坊な一面を持っていますので、中には食事シーンが可愛いという飼い主も少なくはないのではないでしょうか。
雑食とは言っても、野生のミドリふぐは主に小型の無脊椎動物(カイや虫)といったものを捕食していますので、普通のふぐと基本的には変わりはないふぐだと言えるでしょう。
おそらく観賞用として皆さんが最初に見るミドリふぐは2㎝程度の物をペットショップなどで見るのではないでしょうか。
実はこのミドリふぐは攻撃性が非常に高い為、同じ水槽内で鯖などの稚魚と一緒に飼育をしたり、他の魚との飼育をしたりすると鱗などをかじる事がある為、単独飼育に向いているふぐだと言えるでしょう。
自然界では最大17㎝まで成長をするミドリふぐですが、飼育下では10㎝前後で成長が止まってしまう為、あまり大きくなりません。
しかし病気とかではないので、心配は不要だと言えるでしょう。
■毒はあるのか
観賞用として人気のあるミドリふぐですが、ミドリふぐの体内には毒があるのか?と思っている方も少なくはないですよね。
基本的にミドリふぐにも、他のふぐ同様にテトロドトキシンが含まれています。
しかしふぐにテトロドトキシンが含まれるのは、自然界の捕食が原因とされている為もしかしたら、ペットショップなどで購入したふぐには毒が無い可能性は高いといえるのです。
ですが、飼育の段階で有毒化をしてしまうという事は十分にあるのだと言えるのです。
そんなミドリふぐの有毒部分はというと、血液や内臓に毒を含んでいます。
また少量ではありますが、筋肉などにも毒を含んでいますので、鑑賞するのに飽きたからといって調理して食べるという事はしてはいけないと言えるのです。
また、ミドリふぐの特徴として、皮膚の部分に多くの毒を含んでいる為、取り扱いには注意が必要だと言えるでしょう。
そんなミドリふぐですが、多くのふぐが毒を含んでいるとされている肝臓の部分には毒を有していないと言われており、肝臓は食す事ができるのかもしれませんが、10㎝前後のふぐの肝臓を食べても味なんてわかりませんから、食用には向かないと言えるでしょう。
このように、ほぼ全身に毒を有するミドリふぐですから、たまたま海で捕まえた物を飼育するよりも、間違いなく購入した物を飼育した方が安全だと言えるでしょう。
確かに小さいふぐですが、それでも人が死ぬには十分な毒を有していますので、絶対に飼育していた物であっても食してはならないと言えるでしょう。
■淡水での飼育もできる
基本的に汽水域にも生息しているミドリふぐですから、飼育する際には塩水などでなくても、淡水での飼育もできます。
ですから初心者でも飼育しやすいという様なふぐであり、気を使わなくても良いので何か生き物を飼育してみたいという方にはおすすめのふぐだと言えるでしょう。
また、ミドリふぐが小さなヒレを一生懸命に動かして泳いでいる様子は、かなり可愛く健気にも見えますので、癒されるという方も多いようです。
現代人のストレスを癒してくれるのは、意外と強力な毒を持ち人々に怖がられながらも、日本の代表的な食文化を作り上げたふぐなのかもしれませんね。
もしも、毎日の仕事の中に癒しが欲しいと思っている方がいらっしゃれば、ミドリふぐを飼育してみてはいかがでしょうか。