「注意解毒剤が無いテトロドトキシン」
ふぐが体内に含んでいる強力な毒素であるテトロドトキシン。
ふぐを自分で捌いて、テトロドトキシンにあたって生死の境をさまよったとしても、基本的に自己責任であり、もしも他人に提供していた場合には、逮捕される可能性もあります。
このテトロドトキシンによる中毒の場合には、発見が遅れてしまうと、死亡率も高まってしまうのですが、なぜ死亡率が高いのでしょうか。
それは、細胞や細胞膜のナトリウムイオンチャンネルに働き、体を麻痺させてしまうという事があげられるのですが、実はそれだけではありません。
というのも毒には必ず存在すると言っても良いという様なアレが用意されていないのです。
■毒物には存在するアレとは
少々もったいぶってみましたが、毒には必ず存在しているのが解毒剤です。
ほぼほぼ毒には解毒作用のある薬品が対として準備されています。
それは、自然界の毒に関しても同様で、特にマムシやハブと言った危険生物の毒に対しても抗体という形で、解毒作用のある物が存在します。
その為、マムシやハブに噛まれても症状が重篤化せず命を取り留める事が可能になります。
一番はそのような生物が居る様な場所に行かないのが良いのですが、仕事上行かなくてはならない人も居らっしゃいますので、被害は年間にかなりの数出ているようです。
最近では、日本人だけに止まらず外国人観光客なども被害に遭っているようなのですが、みんな解毒作用のある薬品のおかげで自国へ帰る事ができているのです。
しかし、ふぐ毒であるテトロドトキシンには解毒剤が無く、万が一ふぐ毒にあたってしまった場合は助かるかどうかは限りなく運任せだと言っても過言ではないでしょう。
■解毒剤が無い理由はこう考えられている
通常だと解毒剤が用意されている物ですが、なぜテトロドトキシンには解毒剤が無いのでしょうか。
それは、お金の問題だと言う方も少なくはありませんよね。
どういう事かと言うと、例えば風邪薬などは年間に数百万人の日とが風邪に掛かるため、製薬会社も儲かりますし、新薬を作っても採算が合うのです。
しかし、テトロドトキシンの中毒になる人は少なく解毒剤を生成しても利益が出ないという理由から製薬会社が解毒剤を作らないという理由です。
これは、確かに一見的を得ているように聞こえますが、実は解毒剤が売れないから作らないなんて理由では説明が付かないものも沢山あるかと思います。
例えば、テトロドトキシンよりも毒性は弱いですが、人を数分で絶命させてしまう青酸カリですが、この青酸カリを日常で服用する人は基本的にいませんよね。
しかし、この青酸カリにはしっかりと解毒剤が用意されているのです。
この利益優先主義での生産理由で考えてしまうと、いったい年間に何人の人が青酸カリ中毒になると言うのでしょうか。
そのことから、この説はあまり有力では無いと言えるのです。
その他にも、色々な説があるのですが、それは、ふぐに関する決まりが原因だと言う説です。
というのも、ふぐの可食部分は決まっていますし、基本的に調理はしっかりと知識を持った人もしくは、知識のある人の監視下にて処理されています。
また、内臓などの非可食部が入った状態で流通させる事はしっかりと禁止されています。
その為、ルールに基づいてふぐを食す場合には間違いなくテトロドトキシンによる食中毒は起こらない様になっているのです。
その為、テトロドトキシンの解毒剤は必要ないという結論に至ってしまうのです。
事件的な話をしてしまうと話がまとまりませんのでこの際無視しますが、経口毒であるテトロドトキシンですから、自発的に口に含まなければ体内へ入る事は無く、テトロドトキシンは流通されていない為入手も難しく。
その為解毒材が生成されないとする説もネット上で飛び交っていますが、この説は両方とも間違った見解なので信用はしないでください。
■解毒剤が無い本当の理由
では解毒剤が無い本当の理由をお話しましょう。
実は、テトロドトキシンは非常に複雑構造をしているのです。
更に現在もテトロドトキシンに関する研究がされていますが、微生物による毒素の緩和や熱(300℃でも)による毒の分解が無い事などから解毒の方法が解明されていません。
その為解毒剤が開発されないのです。
解毒剤が開発されていない為、治療には胃の洗浄などの方法がとられており、処置が早ければ助かる可能性は高いですが、遅れてしまうと死に至る事になってしまうのです。
この胃の洗浄によって助かるという理由は、麻痺を起こしているだけで、細胞をテトロドトキシンが攻撃して破壊しているわけではない事が要因に挙げられています。
例えば、呼吸停止をしてしまっても間髪入れずに人工呼吸を行いテトロドトキシンの麻痺効果が無くなるまでの間人工呼吸を続ければ、そのうちに排出されてしまいますので、原理的には助かると言えるのですが、現実的には難しいので死にたく無ければ、絶対に体内に取り込まない事が大切ですよ。