「どうして許可されない養殖ふぐの肝」
ふぐにはテトロドトキシンという猛毒が含まれている為、有毒部分をしっかりと除去してからではないと食すことは絶対にできません。
特に、ふぐ肝には多くのテトロドトキシンが含まれている為、食用を禁止されているなど、とても危険な部分とされています。
しかし、最近では養殖により無毒のふぐが作られている事から、養殖のふぐに関しては肝を食べる事ができるのではないかと言われています。
しかし、どういうことか、肝はいまだに食用として許可されておらず、危険な部分としての認識は払拭できていないのです。
今回は、ふぐ肝がなぜ許可されないのかをご紹介します。
■養殖ふぐに毒が無い理由
なぜ養殖のふぐ肝には毒が無いとされているのでしょうか。
それは、ふぐが体内で毒を生成する生き物では無いという事が大きな理由の様です。
というのも、ふぐの体内に多く含まれているテトロドトキシンはふぐがテトロドトキシンを有している貝などを捕食する事によって体内へ蓄積されていくため、そのような物を餌として与えないような養殖のふぐであればふぐにはテトロドトキシンを含まれないというのです。
というのも、しっかりとした餌の管理と除菌をした海水を利用した陸上養殖という環境であれば、毒のある生物を食する事も無く体内へテトロドトキシンを蓄積する事が無いという理由が根底にありました。
確かに、海上養殖ではどんなに管理をしても無毒のふぐを生産することは不可能に近いですが、陸上であれば寄生虫なども入って来ない為、ふぐが寄生虫により死滅する事もありあせんので、人為的にテトロドトキシンを含む餌を与える事も無いでしょう。
その為、コストは掛かりますが確かに無毒のふぐが生産できる可能性は高いと言えるでしょう。
■ふぐ肝の危険性
いくら無毒のふぐ肝を生産できるからと言っても、本来のふぐ肝が危険だという事には変わりありません。
しかし、危険だと言われているふぐ肝ですが実際にはどれほど危険なのかわかり辛いという方も少なくは無いですよね。
中には、ふぐの肝を食べたけれど何とも無かったという方も居らっしゃるかもしれません。
しかしふぐ肝による死亡事故は多く発生しています。
中でも、大分県では2014年まで実際に旅館でふぐ肝を提供していたそうです。
これは大分県の旅行情報サイトでも口コミが発見できていたほどでした。
ふぐ肝が危険とされているのは、肝の特性上大量のテトロドトキシンが蓄積されてしまう事があげられます。
というのも人間もそうですが、基本的に肝臓には栄養などを蓄えるという機能があります。
ふぐの肝臓にはテトロドトキシンを蓄えるというわけなのです。
テトロドトキシンは青酸カリの850倍もの毒と言われている為、かなりの危険な毒です。
その毒が大量に貯えられているわけですからふぐ肝はかなり危険なのです。
■ふぐ肝が解禁されないのはこんな理由
ふぐ肝による中毒などの症例は過去10年で300件とも言われており、死亡例は10件ほど報告されています。
その為、国もかなり慎重になっているのでしょう。
しかし、危険性という観点よりも、養殖ふぐの肝を提供してしまうようになってしまうと、今までのふぐへの常識が一変してしまう可能性があるのも事実です。
というのも、現在はふぐの肝は危険だから食べないという常識があります。
これが、ふぐ肝が提供されているからふぐ肝は食べても安全なんだと、一般の方がふぐの肝を食すという様な危険性が出てきます。
そうなってしまうと、収拾がつかず多くの犠牲者が出てしまう可能性があるのです。
そんなことはあり得ないと言われるかもしれませんが、20年30年とたってしまった場合に、果たして本当に正しいふぐの食べ方が継承されているのでしょうか。
その様な背景がある事、またいくら養殖と言え何らかの手違いが発生してしまう可能性と、
食品の産地偽装という問題がある以上は、人命に関わる可能性もあるため、解禁されることは無いのではないでしょうか。
というのも、悪徳な業者が、養殖ふぐ肝と偽装をして販売してしまうと、多くの犠牲者が出る可能性があるという事です。
あり得ないと言われるかもしれませんが、可能性は0ではありません。
ですから、ふぐの肝は依然として食用禁止と国が定めているのです。
■舌が痺れる美味さ
ふぐ肝は昔から、舌が痺れるほど美味しいと言われています。
これは単に毒があるためしたがピリピリするだけの様です。
そんな危険なふぐ肝を食べなくても、あん肝やカワハギ等の毒の無い安全な肝が存在します。
安全な食こそが大切なのです、毒があるか無いかしっかりと管理をした上で更に検査をしたとしても100％安全ではないのであれば、心から食事を楽しむ事は出来ないでしょう。
人間ダメと言われると食べてみたくなるものではありますが、危険ですから絶対に試しに食べてみようなどとは考えないようにしましょう。
しかし、今後厚生労働省と水産業者が話し合いを進めていくらしいので、ひょっとしたら解禁される日が来るかもしれませんね。
