ふぐの皮
ふぐの皮ってものすごく美味しいと知っていましたか。
サッと湯引きして氷水で粗熱を取ったら、もみじおろしとポン酢でなんて最高ではないでしょうか。
しかしこのふぐの皮には毒がある種類もいますので、むやみに食べるなんてできませんよね。
そしてふぐ皮と言っても、シャミ皮、本皮、身皮と三種類ありますので、捌くのも大変なようです。
今回はそんな、ちょっと危険で美味しいふぐ皮についてご紹介いたします。
■ふぐの皮に毒がある理由
ふぐの内臓には毒があると言う話はあまりに有名ですよね。
その為、ふぐは内臓と血液にさえ気を付けると大丈夫と言う人も中にはいらっしゃいますよね。
しかし、ふぐの種類の中には皮にも毒を持っている個体が存在します。
なぜ皮に毒があるかと言うと、そもそも生物が毒を持つ理由は2つしかありませんが、1つは捕食のため、2つ目は身を守るためという理由です。
ふぐの場合は完全に後者の身を守ると言う事が理由ですよね。
内臓に毒があるだけでも、身を守る事はできますが、皮に毒があるとより身を守りやすくなる事が原因と言われています。
と言ってもふぐのほとんどが皮に毒を持っていると思っていただいた方が良いかと思います。
そんなふぐの中にあってとらふぐは、希少な皮に毒を持たない個体なのです。
■ふぐの皮の捌き方
先ほどもお話しましたが、ふぐの皮にはシャミ皮、本皮、身皮とがあります。
この3つの皮は本来1つの皮から取る事ができます。
しかし、この皮をむくのがとても難しく、多くの料理人がふぐ調理士の試験で失敗しいようです。
剥き方としては、内側の粘膜(とうとう身)を剥ぎ、剥いだ皮をまな板に貼り付けて外側の棘のある皮を削ぎ取ります。
それと身に付いている薄皮(身皮)で三種類です。
最近ではふぐの皮を剥ぐ機会があるらしいので、市場関係の方はものすごく助かっているそうです。
確かにそれもそのはずです。
皮引きが難しいとは言え、とらふぐの皮は食用として人気が高いため、一匹のとらふぐの皮を剥ぐための時間が短縮できるのはありがたい事ですよね。
このように古くから和食を支えてきたとらふぐの調理にも新しい風が吹き込んできているという事でしょう。
■ふぐ皮の食べ方
ふぐの皮の食べ方として一番有名なのが、湯引きをしたふぐの皮にポン酢をかけた「ふぐ皮ポン酢」でしょうか。
コリコリとした食感がなんとも言えませんし、ポン酢のさっぱりした味わいが最高の一品です。
私はもみじおろしをプラスして食べるのが好きですね。
そのほかにも、にごりなんかにもされますよね。
これはふぐの皮に含まれるコラーゲンが冷えると固まるという特性を利用したものです。
お鍋に500㏄ほどのお湯を沸かし、とらふぐの皮を入れます。
お鍋に入れたとらふぐの皮が一度硬くなり、再度柔くなって透明になたところで取り出します。
このまま煮てしまうと溶けてなくなるので気を付けてくださいね。
後は味付けをして粗熱を取り、冷蔵庫などで冷やしたら完成です。
食べるでは、冷蔵庫で保管してくださいね。
常温でおいておくと溶けてしまいますよ。
■ふぐ皮を大阪で鉄皮と呼ぶ理由
大阪などではふぐ皮の事を鉄皮と呼ぶようです。
これは、ふぐの呼び方によるのですが、大阪ではその昔「てっぽう」と呼んでいたようです。
その由来はなんとも大阪らしいユニークな物なのです。
ふぐにはテトロドトキシンという青酸カリの850倍の毒素を持つ猛毒が含まれています。
昔はふぐの調理法は今よりしっかりしていなかったため、ふぐの毒に当たって亡くなった方が多かったのです。
その為、「当たると死ぬ」という噂が流れました。
そんな中誰が言ったのやら、「当たると死ぬという事は鉄砲と同じ」だと。
そんな事から、当たると死ぬに掛けて「てっぽう」と呼ばれるようになったのです。
なので、ふぐ皮は「てっぽうの皮」なので「鉄皮」と呼ばれるようになったそうです。
因みに「てっさ」は「てっぽうの刺身」で「てっさ」らしいです。
いかにも大阪らしいユーモラスな呼び名ですね。
しかしこの事から、どれほど昔の人々がふぐの毒を恐れていたのかお分かりいただけるかと思います。
調理法が確立されて、ふぐ調理士という資格を持った方まで存在する現代においても年間にふぐの毒に当たる方が後を絶ちません。
昔の人々と比べると現代人は、ふぐの毒の恐ろしさをあまりわかっていないのかもしれません。
確かにとらふぐの皮はとても食感が良く、美味しい食材です。
しかし、とらふぐだから食す事ができるという事を忘れてはいけません。
他にも、皮を食べる事の出来るふぐは数種類存在しますが、種類を間違えると命を落とす危険性もあるのです。
「ふぐは内臓や血液を、気を付ければ毒に当たらない」そんな事は絶対にありません。
ふぐ皮は剥ぐのが難しい為、自分で調理される方はいらっしゃらないとは思いますが、しっかりと安全に食べてこそ、美味しいのですから、資格を持った人が捌いたふぐを食べましょう。