ふぐと言えば、鍋や唐揚げ、てんぷらなどの料理があります。
しかし、そんなふぐ料理の中で新鮮な時にしか食べられないのがふぐ刺しではないでしょうか。
そんなふぐ刺しですが、これでもかと言わんばかりに薄く引かれている身を盛り付けてあるのですが、これはケチだからではなく、弾力があって硬いからなのです。
厚く引いたふぐの身は、例えるならばゴムを噛んでいるような弾力があり、なかなか噛み切る事ができません。
そんな物を食べても、噛み切る事に集中し過ぎて、誰も美味しいとは思いません。
ですから、薄く引いたふぐ刺しを堪能する様になっておるのですが、ふぐ刺しを引くのには熟練の技が必要で、一朝一夕では引く事さえままならないのだそうです。
そんなふぐ刺しは一種の芸術の様にも思えて、食べるのが勿体ない様な気もしますよね。
食べないと勿体ないので、目で楽しんだ後は結果的に食べるのですが、ふぐ刺しを食べている時に何か気付いた事はありませんか。
そう、皿の絵柄がすごいという事です。
これは、明らかに他の魚の刺身と違いう点なのです。
というのも、ふぐの刺身はツマさえ引かれていませんよね
そこで今回は、ふぐの盛り付けと皿の秘密をご紹介します。
■ふぐ刺しの皿が鮮やかな理由は
ふぐと聞くと、白身魚というイメージの方が多くありませんか。
そう、ふぐは誰もが認める白身魚なのです。
その為、皿いっぱいに薄く引いたふぐを並べると、白いだけの刺身の盛になってしまうのです。
その為、白い無地の皿ではふぐ刺しの芸術性が目立たなくなってしまうのです。
そこで、登場するのがふぐ刺しを持ってある一般絵的な絵皿です。
この絵皿に盛られるのにはふぐ刺しの透けるような薄さを強調するという意図と、ふぐ刺しの豪華さを際立たせるという二つの要素があるのです。
その為、薄く引いたふぐ刺しには、絵皿の柄とあいまった芸術性が一層際立っており、ふぐ刺しの価値をより一層演出しているのです。
しかし、自宅でふぐ刺しを引いて食べても上手くいかないもので、柄が透けて見えなかったり、どこか芸術的には見えなかったりするのです。
それは単に、ふぐの身が厚いと言う事だけではなく、切り方や、盛り付ける際の手順というか、盛り付けの仕方に問題があるのです。
というのも、ふぐはひし形に引かれていて均等の大きさに揃えられています。
そして均等な重なり具合を持って並べられているのです。
その為、ふぐ刺しから透けて見える柄が均等になり、芸術的なふぐ刺しが完成するのですが、これは職人技が必要なため、素人がやっても綺麗にならないのは仕方ないでしょう。
ですから、自宅でふぐ刺しを食べる際には、不完全さが見えないような白の無地の皿に盛りつけると綺麗に見える様です。
■ふぐ刺しに使われる皿
ふぐ刺しを綺麗に演出している絵柄の美しい皿のほとんどは、「有田焼」や「美濃焼」を使用しているというお店が多い様です。
有田焼というのは佐賀県の有田町を中心とした地方で焼かれる磁器の事で、九州地方ではこの有田焼を古くから使ってのではないかと言われています。
有田焼と聞いてもピンとこないという方は、この時期を伊万里港から輸出した事から言われる別名「伊万里焼」と言う言葉を聞くとお分かりになられるかと思います。
また美濃焼というのは岐阜県を中心に焼かれている陶磁器の事です。
この美濃焼は様々なスタイルがあり、有田焼の様に決まったスタイルが無い事が特徴なのです。
現在全国で流通している陶磁器のほとんどは、実は美濃焼なので現在のふぐ刺し用の盛皿には多くの美濃焼が使われているのではないでしょうか。
そんな絵柄が綺麗な皿である、有田焼や美濃焼の他にも最近では青磁器などの無地皿に盛られている事も多いようです。
やはり、無地の皿を使う場合にも色付きの皿を選ぶのは、ふぐの薄さを際立たせるための様で、食べる人への細やかな心遣いという事の様です。
■ふぐ刺しを食べる際には皿も楽しもう
この様に様々な皿がふぐ刺しには使われ散るのですが、どの皿が使われているのかという事を考えながら食べるのも楽しいかもしれません。
また、ふぐ刺しには詳しくなくても、皿に詳しいフリをするだけでもその場での会話も生まれますし、少しだけですが通な感じが漂うのです。
おさらいすると、無地の淡い青系の皿だと青磁器、ガラスの様な滑らかさのある絵皿ならば有田焼、その他の絵皿の場合には高い確率で美濃焼ですので、ちょっと知識をひけらかすのも、良いかもしれませんね。
しかし、中には皿に詳しい方も居らっしゃいますので、「この皿は、有田焼かな?」と最初は濁しておくと良いかもしれませんね。
この様にふぐ刺しと盛り付けをされている皿には、しっかりとした結びつきがあるのです。
そしてそれはしっかりと消費者をもてなそうとしている生産者側の配慮によるものであり、わびとさびを重んじ、相手に対する敬意を持っている日本ならではの理由だったのです。