テトロドトキシンを体内に多く持っているふぐですが、基本的にふぐは何が危険かと尋ねると、多くの方が毒だと答えます。
しかし、本当にふぐの危険なところは体内や体外にある独だけだと思っていらっしゃるのであれば、生きたふぐには絶対に触れないでください。
というのも、ふぐにはテトロドトキシンよりも危険な部分があるのです。
それは前歯です。
ふぐの前歯と聞くと、想像できないという方もいらっしゃるかと思いますが、実はこの歯はとても危険なのです。
どれくらい危険かというと、南米にいるピラニアクラスで危険だと言えるでしょう。
そこで今回は、ふぐの前歯が危険な理由などをご紹介します。
■釣り人を悩ませるふぐ
ふぐと聞くと、一番連想されるのは「とらふぐ」やその刺身である「てっさ」でしょうか。
しかし釣り人にふぐというと、厄介なエサ取りとして認知されています。
特に、グレ釣りなどでエサ取りとして多いのがキタマクラと言われている種のふぐなのですが、本当に大群で押し寄せて、釣れ始めるとキタマクラしか釣れないという状況になってしまいます。
実際私も何回か、キタマクラだけしか釣れないというような状況に遭遇したことがありますが、この時厄介なのは無駄にえさが減る事でも、グレなどのほかの魚が釣れないということではありません。
というのも、キタマクラであっても引きは楽しめますから、本命ではなくても釣りは楽しめます。
しかし、このキタマクラは釣り糸を切ってしまうという厄介な一面を持っている為、釣り人に嫌われているのです。
キタマクラはというと語弊がありますが、ふぐ系の魚は基本的に釣り糸くらいならばいとも簡単に食いちぎる事がお能なのです。
よくブラックバスをされる人が魚の口の中に指を入れて、魚を持っている姿などをテレビなどで見た事のある方もいらっしゃるでしょうが、俗にいうこの「バス持ち」という持ち方を他の魚でもやる事は多々あります。
しかし、ふぐ系の魚でこのバス持ちをしている方はあまり見ません。
あまりというか全く見ません。
これは、ふぐの前歯が強靭で危険だという証拠です。
歯がある時点でバス持ちはやらないですから、ふぐに限らずダツや太刀魚なんかもしませんけど、そこは触れないでくださいね。
■ふぐの前歯はどれくらい強いの?
ふぐの前歯がどれくらい強いかというと、冒頭でもお話ししたピラニアよりも強靭だと言えるでしょう。
ピラニアというと、木の枝くらいならばかみ砕ける強靭な歯と顎を持っていることで有名ですよね。
というのも、水に落ちた動物を骨も残らないほど食い尽くす魚ですから、歯や顎が強靭なのは納得いただけるでしょう。
しかし個人的には、肉や骨をかみ砕くレベルのピラニアは比べ物にならないほど、ふぐの前歯は強靭なのだと思うのです。
というのも、ふぐのエサを考えてみてください。
ふぐが捕食している物は、貝類ですよね。
そう考えると、生き物の骨なんて比べ物にならないくらい固いです。
そんな貝の殻を砕いて、捕食するふぐですから、ピラニアの比ではないのだと思うわけです。
さらに、このふぐの前歯はふぐの武器でもありますから、養殖場などではよくふぐがかみ合いをしている場面があるようで、かなりのけがをするのだとか。
そんな中、ある話を聞きました。
というのが、ピラニアが木の枝をかみ砕くのに対して、ふぐはアルミ缶を噛み千切るというものです。
人間でアルミ缶を噛み千切る事ができる方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。
おそらく、そんなことができればテレビに特集されるくらいのレベルかと思います。
そんな事をふぐはいとも容易くやってのけるのです。
それも、あの小さな体でやってのけますから、どれだけ切れ味が良いのかと思ってしまいます。
もっと言えば、釣りに使う糸は、人間であれば噛み千切るのに少々力が要りますので、多くの方ははさみを持っているようです。
そんな糸を簡単に噛み千切りますから、間違いなく人間の比ではないと言えるでしょう。
■ふぐの口に指を絶対に入れないで
そんな強靭な歯を持つふぐですから、口の中に指を入れてしまうとどうなるかという事は言わなくてもわかると思いますが、おそらく一瞬にして指が無くなります。
もしかしたら、硬い物は切れるけれど人の指は切れないかもしれません。
しかし、それを試せる勇者もいなければ、試して指が無くなってからでは、遅いのです。
ですから絶対にふぐの口に手を入れることはしない様にしましょう。
確かに、釣りに行き針を外すときにはふぐの口もとに指を近づけます。
そんな時にも、細心の注意を払う事が大切ですし、もし可能ならば針外しなどを利用して針を外すと危険ではないためおすすめです。
このように、テトロドトキシンにばかりつられてしまうふぐの危険性ですが、ふぐの危険は歯にもあるという事を知っておくと、これから釣りを始めようかなと思っている方も安心ですよね。
毒もあって危険なふぐですから、できるだけ触れない方が無難だともいえるかもしれませんね。