日本を代表する食文化ふぐ食。
数多くの日本料理の中でも、ふぐ料理と言えば高価な物だと思っている人も多いのではないでしょうか。
そんなふぐ料理に使われるふぐですが、青酸カリよりもはるかに強力な毒であるテトロドトキシンを体内に保有しています。
この毒は食べた側が死んでしまうというふぐにとっても食べられないと毒の効果を発揮できないという何とも諸刃の剣の様な効果を持った毒なのですが、その強さはというと10gのふぐの肝で人を一人殺せてしまうほどの強さを誇ります。
そのため海洋生物の中でもふぐを食べる魚はほとんどいませんし、世界中を見回してもふぐを食べる食文化と言うのはアジアの諸国に見られますが、欧米諸国ではあまり見られる事の無い食文化だと言えるでしょう。
そんなふぐを食べる食文化を持っている国々の中でもトップクラスのふぐの処理能力を持っている日本には毎年多くの外国人観光客が訪れふぐを食べて帰っていきます。
そんなトップクラスの安全を提供している日本においても、ふぐの有毒部位を提供しているお店が後を絶たずまた、個人で調理して人にふるまう人も少なくはないようです。
今回はそんなふぐの有毒部位を提供した時にどのような処罰が待っているのかと言う事をご紹介します。
□ふぐの有毒部位とは?
ふぐを食べる際に必ず毒のある部分と無い部分とに分けています。
基本的に皆さんが食べたことがあるであろう、身の部分や皮、白子と等の部分は食べられる
部位になっています。
そのほかの内臓などには猛毒のテトロドトキシンが含まれているため食べる事はまずできませんし、ふぐの体内から取り除かれた後はジュラルミンのケースにカギをかけて保管されます。
これはふぐの持つテトロドトキシンが人を簡単に殺してしまえるほどの強力な毒であり、悪用されると危険なためだと言われています。
そのような厳重に保管される部分ですから絶対に流通してはならないのですが、中には提供してしまう人も居るようです。
□ふぐの有毒部位を提供するとどうなるの?
基本的にふぐの有毒部位を提供した場合に、お店であれば食品衛生法違反・条例違反等の罪が掛かります。
また食べた人が亡くなってしまった場合には、業務上過失致死傷罪の適用もあるため、最悪の場合には殺人罪の適用まで行われる事があります。
過去に坂東三津五郎にふぐの肝を提供した調理師は、殺人罪に問われましたので凡例がある為、殺人罪が適用される可能性も高いと言えるでしょう。
では個人で提供した場合には?というと、条例違反等は適用されませんし業務でもありませんので業務上過失致死傷なんて事も考えにくいですよね。
ではどのような罪が、一番可能性が高いかと言うと、やはり殺人罪や殺人未遂罪と言ったところでしょう。
また個人の場合、有毒部位をしっかりと分けたのにも関わらずという場合がありますが、その場合地などが付着しておきますので、結果的に毒を盛った事には変わりありませんので、不慮の事故と言うよりはやはり殺人の容疑がかけられてしまう事でしょう。
そのような事にはなりたくないという気持ちは痛いほどわかりますが、それが現実ですので、そのような面倒なことに巻き込まれたくないのであれば最初からふぐは捌かないという事が一番でしょう。
そもそも素人でありながらふぐを捌いて他人にも振る舞うという行動はどうなのでしょうか。
100%安全ではないのですから、やはり自己責任の範囲を超えるような場には出さないというのが鉄則であり、自分の命も大切にするという点でもやはり素人がふぐを捌いては活けません。
また現在の日本では、ふぐの有毒部位は流通・提供しないという事になっているため、消費者側が無理に提供させなければ、お店側も提供する事は無いでしょう。
□ふぐの毒ってどれくらい危険?
そもそもふぐの毒はどれくらい危険な毒なのでしょうか。
ふぐの毒は神経の伝達を阻害する働きがある為、筋肉などの動きを止めるばかりか、肺の機能までも止めてしまうのです。
心臓は神経伝達で動いている臓器ではないため、神経を遮断されても問題は無いようあのですが、肺は止めたり動かしたりを人間の意志で行える臓器ですから、テトロドトキシンにより動かなくなってしまうのです。
肺が動かなくなってしまうと、勿論活きができませんので窒息してしまい死んでしまうのですが、その前に意識障害等が起こっているので苦しいといった事は無いのかもしれません。
苦しくても動く事さえできない状態ですので、もがき苦しむという事は無いでしょう。
またこのテトロドトキシンの怖いところは、解毒剤が無いという事です。
ですから病院へ搬送されても根本的な治療はなく、人工呼吸器での呼吸の確保を行う延命的な応急処置を行い体外へテトロドトキシンが排出されるのを待つことしかなく、最終的には本人の運に任せる他ない様です。
このように本当に危険なテトロドトキシンが含まれるふぐですから、むやみに有毒部位を食べないようにしましょう。