「知っていましたふぐ漁の禁漁期間」
ふぐの王様と言えばやはりとらふぐですよね。
そんなとらふぐ漁には定置網や底曳網などは基本的に使用されません。
というのも、ふぐの体に傷が付いてしまい弱ってしまう事や見てくれが悪くなってしまうという事が理由なのです。
実際に体に傷が付いてしまったとらふぐは値段が落ちてしまいますので、ふぐを水揚げして生活をしている漁師さん達からしたら死活問題とも言えるでしょう。
そんなふぐ漁には、延縄漁もしくは一本釣りが良いとされているのですが、定置網や底曳網延縄や一本釣りではそんなに多くのふぐを漁獲できるとは思えないのですが、そんなふぐ延縄漁にもしっかりと禁漁期間があるのですがご存知でしょうか。
今回はそんなとらふぐの延縄漁の禁漁期間についてご紹介します。
■なぜ禁漁期間があるの
とらふぐというと一年中食べる事ができる魚であり、一本釣りや延縄漁でそんなに大量に獲れないのになぜ、禁漁期間を設けてあるのと言う方も少なくは無いでしょう。
そもそもその考えこそが大間違いです。
というのもふぐ漁を行っている漁船というのは数えきれないほど沢山います。
その為、水揚げされるふぐも数百万トンほどに上ります。
ですので、ふぐを一年中獲り続けてしまう様な事を続けているとあっという間にふぐは絶滅してしまい食べる事すらできなくなってしまうのです。
絶滅だなんて大袈裟だと思っている方も居らっしゃるでしょうが、昔はふぐの漁獲量は今よりも倍ほどよかったそうです。
それが、ふぐが解禁になり乱獲や他国の船が水揚げをしてしまう等の状態が続いてしまったため漁獲量も年々減少し、ふぐ漁船も随分と減ってしまったのです。
この様に百年ほどでふぐの漁獲量が大幅に減少している事からも、生活資源であるふぐを大切に行こうということから禁漁期間が設けられているのです。
■ふぐ毒が強力になるからではないのか
ふぐの禁漁期間が設けられているのは、ふぐ毒が貝毒の関係で夏場に毒性が増すからだと言われる方も稀にいらっしゃるみたいなのですが、毒が強くなるなどの理由は全く関係ないと思っていただいて良いかと思います。
というのも、ふぐの種類によっては、夏場に漁をする種類も多く居るという事と、毒の強さが増しても、貝のように可食部までもが毒まみれになるわけではないという理由が挙げられます。
というのも、夏の貝は食べてはならないとされていますが、これは夏の貝には毒があり食べると毒にあたってしまう事が原因なのです。
しかし良く考えてください、冬の貝は食べられますよね。
しかし、冬のふぐの内臓は食べる事はできませんし、かといって夏場も食べる事はできません。
そう考えると、もともと毒がある魚で、毒がある部分を除去して食すふぐの場合には、餌の毒性により、ふぐ本来の毒性が少々増したところで大した問題ではありませんよね。
ですので、夏は貝毒が増すから禁漁期間となっているという説は成り立たないと言えるのです。
■下関におけるとらふぐの禁漁期間はどれくらい
ふぐの禁漁期間は基本的に5月から8月いっぱいの様です。
その為、9月1日に延縄漁船の出港式が行われるなど行事が多くなってくるのです。
そして4月30日に一年間食べたふぐへの感謝と供養の意味を込めて、下関ふく供養祭が執り行われています。
この供養祭には、全国のふぐ料理店や加工業者、水産業者など多く人が集まります。
またこのふく供養祭が、とらふぐのシーズンを終えるイベントとして執り行われている事から、とらふぐの禁漁期間は5月から8月いっぱいだと言えるのです。
しかし、昔はふぐのシーズンの終了を告げるイベントであったふく供養祭も今では形式だけの物になりつつあるようです。
というのも、最近では一年中とらふぐが食べられるようになっている事から、供養をしている間にも、とらふぐが一匹命を落としてしまうという様な状況になっているのです。
■禁漁期間の取り組み
とらふぐの禁漁期間はふく連盟は何もしていないわけではありません。
冒頭でもお話したように、ふぐは山口県下関市のふぐ延縄漁船の漁師さんたちにとっては、生活資源と呼べるものなのです。
その為、量によって減ってしまったふぐを少しでも増やすために、とらふぐの放流活動などを行っています。
実はこの放流ですがふく供養祭でも行われているので、実際にイベントに参加をする事で見る事が可能です。
■今後守っていきたい命
ふぐとともに生活をしていると言っても過言ではない山口県下関市ですが、ふぐ漁船が年々減少しているのは、やはりふぐ漁だけでは生活ができなくなってきているからなのです。
漁師の方たちの大切な生活資源であり、放流をして守られているとらふぐですから、もしも皆さんが釣りへ出かけた際に釣り上げた場合にはそっと海へ返してあげてください。
そうする事で、大きくなって子孫を残し、また昔のようにふぐ漁の活気あふれた街に戻れるかもしれません。
