「ふぐ刺しの美味しい食べ方」
ふぐ刺しと聞くと、皿の絵柄が透けるほど薄く引かれたあの薄造りを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
ふぐの身はとても硬く弾力がある為に、ふぐ引き包丁という厚さ2.8㎜ほどの包丁で切る(引く)のです。
因みにおそらく皆さんが、食べたことが無い方でもテレビなどで見て知っている薄造りの事を「ふぐ刺し」「てっさ」と呼んでいますが、本当に薄いですよね。
しかし、あの薄さがふぐの身を美味しく食べる事ができる絶妙の厚みなのです。
決して、ケチってあの薄さになっているのではありませんので、料理人さんや、お店の方や等を変な目で見ないようにしましょう。
■ふぐ刺しとてっさは同じもの
「てっさ」という言葉を耳にしたことはありませんか。
この「てっさ」は、ふぐ刺しを指す言葉なのですが。
関西地方などで良く耳にします。
というのも、この「てっさ」という言葉の発祥が関西なのです。
何故「てっさ」というかというと、ふぐにはテトロドトキシンという非常に強力な毒があります。
このテトロドトキシンのために古くから日本では、ふぐを食べて命を落とす人が多く居ましたので、ふぐの毒に当たると必ず死んでしまうと言われるようになりました。
そのころの日本で当たると必ず死ぬという物がもう一つあったのですが、それが鉄砲でした。
正確には鉄砲の弾ですが。
そこで、必ず死ぬもの同士を掛けたダジャレが語源で、ふぐの事を「てっぽう」と呼ぶ地域が出てきたのです。
その為てっぽうの刺身という事から関西方面では「てっさ」と言われる様になりました。
■ふぐ刺しも冷やすと美味い
刺身と聞くと、どのような魚も、骨と身を分けて切った簡単なものだと思われている方が多いかもしれません。
しかし、刺身は置くが深く、常温でおかれた刺身と、切ってすぐに一度冷やした刺身とでは、味が全く違います。
切った刺身を冷やすのは、痛むのを予防するのが目的と思われる方も多いかもしれませんが、自宅で、どんな魚でも良いので、捌いてみてください。
そして、刺身にした後に常温で置いた物と刺身にした後に、一度冷蔵庫で冷やしたものを食べ比べてみると、その違いは歴然です。
冷やした物は常温で置いたものよりも、魚の生臭さが感じられませんし、身もしまっている物が多いかと思います。
しかし、基本的にふぐはお店で食べますので、あまり気にする必要が無いと思われている方が多いかと思います。
例えば、今は何でも取り寄せができる時代ですので、ふぐ刺しの取り寄せなんかもできますし、身欠きなどでも刺身を取る事もできますよね。
勿論内臓のあるものを、取り寄せる事はやめて欲しいのですが、できなくはないでしょう。
この様に今では簡単に自宅でも、ふぐ刺しを食べる事ができます。
多くの場合取り寄せは冷凍されて届きますし、その日に食べない場合にも冷凍しておくのが良いでしょう。
この冷凍してあるふぐを解凍する際にも、常温で解凍するよりも、冷蔵庫で少しづつ解凍する方が傷みも少ないのでお勧めなのです。
一番は、常温で解凍し過ぎてしまう事が心配ですよね。
■ふぐ刺しの美味しい食べ方
どんな食材も美味しいのは自分の好きな食べ方かもしれませんので、食べ方は勿論決まっていませんが、あえて美味しい食べ方をご紹介するとすれば、やはりこの食べ方という物があります。
素の食べ方とは、ふぐの刺身を1~3枚ほど取り2センチくらいに切った小葱等の薬味をくるんで、ポン酢をつけていただくという食べ方です。
一枚一枚食べても良いのですが、豪快さに欠けますし、ふぐ刺しを一枚一枚食べている自分を想像すると、なんだかみっともないですよね。
更に、ふぐの身は硬くて噛むのが大変なくせに、淡白と来ていますから、一枚だけでは、旨みが分かりづらい事もありますし、薬味に負けてしまう可能性もあります。
そこで、3枚ほど同時に食べると、噛みごたえもあり、噛めば噛むほどにふぐの旨みが口いっぱいに広がると思います。
■ふぐ刺しの魅力は味だけではない
ふぐ刺しと言えば、冒頭でもお話したように、薄いのが特徴です。
この薄いふぐ刺しですから、皿の柄が透けて見えてしまうのですが、透き通るように薄いふぐを、絵皿の上で菊の花のように盛り付ける菊盛と言われる盛り付け方や、孔雀の形をした孔雀盛など、本当に美しい盛り方をされている物があります。
確かに、早くふぐの味を堪能したいと思われる方もいらっしゃる事でしょうが、まずは目で堪能していただきたいと思います。
というのも、このふぐの盛り付けですが、本当に熟練したプロの技が光っていて、一つの芸術が皿の上にあるからなのです。
本当に食べてしまうのが勿体ないような気もしますし、最近で言えばインスタ映えも狙える一品だと思いますので、最低でも職人の技を目に焼き付けていただければ、より美味しくふぐを堪能していただける事でしょう。
今回はふぐの美味しい食べ方をご紹介しました。
是非皆さんも試してみてくださいね。