ふぐは日本の食文化において非常に長い間食されてきた魚です。
その歴史は米よりも長く、縄文時代ごろの貝塚や遺跡からも骨が出土しています。
鎌倉や平安時代には朝廷への献上品として扱われていた記述が残っているなど、非常に日本とは関りが深いと言っても良いでしょう。
しかしそんな関りの深いふぐですが、現代に暮らす私たちにもふぐの毒であるテトロドトキシンの事はあまりわかっておらず、わかっていることは口にすると命を落としてしまう危険性があるという事くらいなのです。
そんなふぐの体内でも危険だとされているのは、内臓で内臓の中でも肝臓(肝)や卵巣は特に猛毒として知られています。
そんなふぐの体内でも危険な肝ですが、食べる事ができると噂されており、本当に食べたのであろう人の話では、カワハギの肝の味に似ていたなんて書き込みもあるほどです。
食べる事ができるふぐの肝は食用だと言われており、毒が無く非常に安心して食べる事ができるのだそうです。
そこで今回はこの食用と言われているふぐの肝は本当に食べても安全なのかという事についてご紹介します。
□食用と言われても食べてはダメ
ふぐの肝は冒頭でもお話したように、ふぐの体内でも猛毒とされており絶対に食べてはいけない部分だと言えるでしょう。
しかし食用なんて言われたら食べる事ができるふぐの肝があるのだ!と勘違いを起こしてしまいますよね。
基本的に食用のふぐの肝は存在しておらず、食用だと言われているふぐの肝は養殖のふぐの肝であることが多いようです。
いくら養殖で餌の管理をしたとしても、プランクトンなどの侵入や稚貝などの侵入を防ぐには海上養殖では限界がある為、無毒のふぐとして扱われてはいないのです。
またふぐの養殖は陸上でもやっているようですが、この方法であれば確実に海の生物とは隔離できると言われていますが、陸上にもテトロドトキシンを体内に保有し得ている生き物がいるため、完璧に安全だとはとても言い難いと言えるでしょう。
そう考えると、ふぐの肝臓は基本的には有毒だと言わざるを得ず、食用のふぐの肝なんて話は完全にまがい物だと言えるでしょう。
□ふぐの肝を食用にするプロジェクトがあった
過去に佐賀県や大分県において養殖ふぐの肝を食べる事ができるという事で、地域興しをしようとするプロジェクトがあったようです。
両者ともに、養殖において餌の管理をきちんとできたふぐは無毒になるとして、申請をしたのですが、やはり危険だという理由で棄却されているのです。
まだまだ諦めてもいないように感じますが、要望が受け入れられなかった理由としては、養殖のふぐの肝と天然物のふぐの肝などの混入と消費者の勘違いによるふぐ毒の食中毒だったのです。
さらに養殖ふぐだから肝を食べても大丈夫だと言えば、養殖と書いてあるふぐも大丈夫
なのだという勘違いが起こってしまいます。
その様な事が起きてしまうと、本当に大変な事になってしまいます。
そのため養殖ふぐの肝の解禁は行われず先送りとなってしまったようです。
また先送りとなってしまった要因の一つは、出荷時に抜き打ちで毒のチェックはできるが全数のチェックができないことなどの理由が挙げられました。
なんで全数じゃないとダメなの?と思う人も居るかもしれませんが、ふぐの毒には個体差がある為、計測したふぐには毒が無くてもその次のふぐには毒がある可能性があるからなのです。
このようにハードルが上がってしまったせいでふぐの肝を食べるというプロジェクトはOKが出るには非常に厳しいものになってしまっているようです。
□現在は提供しているお店は無いとなっている
少し前までは大分県内でふぐの肝が提供されているなんてこともあったようですが、現在では鄭居されているという事は無いようです。
というのも基本的にふぐの有毒部位の提供や販売は禁止されていますし、もしも見つかったならば、禁固刑や罰金刑のおまけまでついています。
その様な事にはなりたくないでしょうし、なってしまっては困るでしょう。
そのためふぐの肝を提供していると言われていたお店でも現在は食べる事が出来ず、県庁などに問い合わせを行っても提供はしていないという返事が返ってくるようです。
もしかすると裏メニューとして鄭居されているなんてこともあるかもしれませんが、とりあえずは提供をされていませんので、今ふぐの肝を食べようと思っても食べる事は出来ないのです。
このように県によってふぐの認識というのは違っています。
これは基本的にふぐに関する決まりが県単位の決まりである条例だからだと言えるでしょう。
法律として定まっていればもう少ししっかりとした決まりが固まるのかもしれませんね。
このようにふぐの肝は販売や提供ができないほどに危険な部位です。
もしも自分で釣り上げたからと捌いて食べるなんてことはしないようにしてください。
ふぐを食べるならばプロが捌いた安心して食べる事ができる部分を食べるようにしてくださいね。