食べられないふぐも居る
日本の周辺には様々なふぐが生息しています。
その中でも、食用可とされているものと食用不可とされているものがあります。
食用可とされているものは一般的に知られているかと思いますが、食用不可とされているものは、一般には出回りませんのであまり知られてはいませんよね。
釣り人の中にも食べられないふぐを知っている方は少なく、中には自分で釣り上げたふぐを食べてしまう人も居ます。
日本近海に生息しているふぐで、食べることのできないふぐは全部で13種類います。
今回はこの食べる事の出来ないふぐについて、ご紹介いたします。
■なぜ食べる事ができないのか
ふぐは皆さんご存知の通り、体内に猛毒のテトロドトキシンを多く有しています。
基本的にテトロドトキシンは、血液中にも含まれているため、血管を通して全身に含まれているという解釈なのですが、食べる事ができるふぐというのは、筋繊維や皮などには毒が含まれていません。
では、食べる事ができないふぐはというと、細胞の1つ1つに猛毒のテトロドトキシンを含んでいる為、食べられるところが無いのです。
毒が強いから食べてはいけないのではなく、正確には毒が全ての組織にあるため食べられるところが無いという事なのです。
■食べる事のできないふぐの種類
なぜ食べてはいけないのかという事は理解していただけたでしょうか。
理解はしていただいても、種類がわからないと子供さんを連れて海へ釣りに行った際に心配だと言われる方もいらっしゃいますかと思います。
そこで、食べる事の出来ないふぐを数種類ご紹介していきます。
■ドくさバふぐ
このふぐは、無毒として有名なしろさばふぐに間違われ中毒者が後を絶たちません。
しろさばふぐは佐賀県では子サバのパックの中に混入されていて、過程で普通に食されている事で有名です。
また釣り人の中には、わざわざこのしろさばふぐを釣りに行くという人まで存在するほどなのですが、このしろさばふぐと似ているクロサバふぐは全身に毒を含んでいてとても危険なふぐなのですが、煮すぎている為間違えて食べてしまう人が居るのです。
ドくさバふぐとしろさばふぐの見分け方としては、尾ひれの切り込みの角度などがありますが、素人に見分ける事は難しいかもしれません。
■ホシふぐ
黒い体に白い斑点が沢山あるふぐはホシふぐというふぐです。
このふぐは黒と白のコンとらストが非常にきれいなふぐなのですが、これも全身に毒を持っていますので釣り上げて綺麗なふぐが釣れた場合には注意しましょう。
■キタマクラ
ちょっと縁起の悪い名前のふぐですが、しっかりと実在します。
房総半島より南のサンゴ礁域や沿岸の岩礁に生息しています。
色はカワハギに似ていますが、全身にテトロドトキシンを多く含み、皮には多くのテトロドトキシンを含んでいます。
このふぐを人間が食べる事で、死んでしまうことから、死ぬと北向きにされて寝かされてしまう事からキタマクラという魚名が付いたとされています。
死んだ後の事を連想させるような名前を魚につける事で注意を促したのでしょう。
■センニンふぐ
ふぐの中では比較的大きくなる個体が多く大きい物では体調が1メートル前後に成長するふぐで、棒状で長いのが特徴です。
体は流線型で、尾柄は縦扁しており、湾内などでよく見るふぐとは違い沖合での生活に最も適した種です。
背側は灰褐色で小黒点が散在しており、体側に銀色の縦線がある事から、ギンふぐとの呼び名があります。
主な生息域としては、南日本からインド洋までの比較的暖かい海域で生息しています。
筋繊維から皮膚、卵巣までと比較的食べる事の出来るふぐの可食部全てに猛毒のテトロドトキシンを含んでいる為に食用としては流通していません。
また、中には沖縄産のセンニンふぐは大丈夫だと言われる方がいらっしゃるかもしれませんが、沖縄県産の物は南九州産の物より、強力な毒を有していますので食べる事はできません。
更にフィリピン産の物は、沖縄県産の物よりも猛毒を有しているとされていますので絶対に食してはいけません。
■ナシふぐ
瀬戸内海や九州西岸、黄海、東シナ海と幅広い海域に生息しているナシふぐですが、基本的には食用不可となっています。
市場に並んでいるのを見かけたという方もいらっしゃるかもしれませんが、このナシふぐは、産地によっては食べられるふぐに大変身します。
というのも、有明海や、橘湾、香川県や岡山県の瀬戸内海で漁獲されたものに関しては、筋繊維いわゆる身の部分は食べる事が可能になります。
また、有明海と橘湾で漁獲されたものに関しては、長崎県の定める要領に基づき処理をする事で精巣を食べる事ができるようになります。
これは、生息している海域にまだ毒を持った餌となる動物が居ない為ではないでしょうか。
これから温暖化が進むと、生息する生き物も変わってくるため将来的には完全に食べる事ができなくなるかもしれません。
■ふぐは素人が調理してはいけない
ふぐは専門的な知識を持った方が捌いて初めて安心して食べる事ができるのです。
釣りに出かけて猛毒のふぐを自宅で食べてしまわないように、基本的にはふぐはリリースして帰るようにしましょうね。