日本には古くからふぐを食べる文化があり、山口県下関市の様にふぐ食文化とは深いつながりのある県や市町村が多くあるようです。
そして、歴史が動く際には度々ふぐが歴史に登場するなど、本当に日本人とふぐは切っても切れない縁があるのだなと思います。
そんなふぐですから、昔から一年間に食される量も多く、その為多くの人たちがふぐに感謝の念を込めて供養をしてきたのです。
そんなふぐ供養祭で有名なのはやはり山口県下関のふぐ供養祭ですが、実はそれ以外にも多くのふぐ供養祭が行われているようです。
そこで今回は、各地で開催されているふぐ供養祭についてご紹介します。
■何と言っても外せないのが下関
ふぐ供養祭というと、冒頭でも触れましたが、やはり下関市は外せません。
山口県下関の南風泊漁港で開催されるふぐ供養祭は、日本でも一番歴史あるふぐ供養祭なのですが、このふぐの供養祭はふぐのシーズンの終わりを全国に広げる伝統行事なのです。
その歴史は、1930年から行われており、日本国内では最も古く歴史のある供養際と言えるのです。
この供養祭は全国の水揚げのほとんどを占めていると言われている、下関の南風泊漁港で開催されるのですが、開催場所が開催場所なだけに、全国各地から水産業者や養殖業者、生産業者、卸業者などが集まります。
その為、この下関で開催される供養祭には、全国各地から多くの参加者が集まり、日本最大のふぐ供養祭にもなっているのです。
そんな下関のふぐ供養祭では、地元の小学生による関門海峡へのとらふぐの放流がされるなどのイベントがあり、見所のある行事となっているのです。
更に、基本的にふぐには回帰本能があると最新の研究により解明された為、産卵期になったとらふぐが、また関門海峡へ帰って来てくれるかもしれないというロマンも加持させてくれるのです。
そんなふぐの供養祭は、下関だけではなく最近では日本全体の風物詩となっているようです。
■下関に次ぐ歴史ある供養祭
日本最古のふぐ供養祭で最長の歴史を誇る下関のふぐ供養祭に次いで長いのが、東京築地魚市場でのふぐ供養祭です。
この供養祭も下関同様に、全国へ向けてふぐシーズンの終わりを知らせる供養祭として4月に開催されています。
この供養祭では、築地市場内の水産卸業者やふぐを扱う仲卸業者、行政の関係者など各地から築地市場へふぐを出荷している業者が一同に会して執り行われます。
基本的には、一年間に頂いたふぐの命に感謝をする焼香の為の行列ができる屋内での仏事の後に、隅田川の岸壁よりふぐ放流して供養祭は終了です。
これが、日本で2番目の歴史を誇っていたふぐ供養祭だったのですが、築地から豊洲への移転の為に2016年の供養祭を最後に開催されたのかはわからなくなっています。
というのも、当初の予定では2016年には築地から豊洲への移転が決まっていたためなのですが、それがずるずると皆さんもご存知の通り、色々な問題の為に2018年までズレてしまっているのです。
80年の歴史を持つ築地市場でしたが、豊洲に移設された後も、できればふぐの供養祭は開催していただきたいものです。
■ふぐ供養祭の意味
ふぐ供養祭が行われているのは、やはり自然の恵みであるふぐの命を頂くという事に感謝をするというのもが、ふぐ供養の本当の意味の様です。
昔から日本人は、自然の全てには神様がいると信じていました。
その為、その年のふぐへの感謝と、豊漁を与えてくれた海の神様への感謝の気持ちを表すために介され始めたようです。
しかし、最近は養殖のふぐが増えている為、ふぐ供養によるふぐへの感謝や海の神様への感謝をさらわした後も、ふぐを食べるという様に一年間休むことなくふぐが食せる時代になってきたのです。
その為ふぐの供養祭による、ふぐシーズンの終わりを伝える意味が無くなってきている事から、多くの市場などではふぐの供養祭が、開催されなくなってきています。
しかし、私たち日本人の生活を支えてくれている食品に感謝を忘れないためにも、ふぐの供養祭は続けて欲しい物です。
現在は、築地でのふぐ供養も取りやめとなっているようで、このまま下関のふぐ供養祭が何らかの事情により取りやめになってしまう事があれば、ふぐの供養祭を見る事ができなくなってしまうかもしれません。
そうなってしまっては、少々寂しくなってしまいそうですね。
■どんな食品にでも感謝の心を忘れてはいけない
私たちは、命を食べて生きているという事を、日常生活において忘れてしまいがちです。
そんな大切な事を忘れてしまうのは忙しい現代人だからなのかもしれません。
しかしお、昔の人たちはその事を一度思い返すチャンスとして、供養祭などを用意していてくれたのかもしれません。
ですので、供養祭が長く続いてほしいと思うのですが、やはりなかなか参列ができない人も居らっしゃる事でしょうから、毎日しっかりと命を頂くという事をかみしめながら、食事をする事が大切なのではないでしょうか。