「ふぐちりは焼き過ぎ注意」
ふぐの美味しい季節と言えば冬ですよね。
ふぐを美味しく食べる方法は沢山ありますが、寒い時だからこそ鍋はより美味しく感じられるのではないでしょうか。
脂ののったふぐの身を鍋の中で一煮立ちさせて食べる、冷えたからだが温まる最高の一品ですよね。
ふぐの鍋料理にも、「ふぐしゃぶ」や「ふぐ鍋」等食べ方は様々ですが、やはり冬の寒い時期に体の温まりやすい鍋と言ったらあれしかありませんよね。
そうそのあれとは、暖かい鍋と、薬味の豊かな風味で、体の芯から温めてくれる「ふぐちり」です。
しかし、この「ふぐちり」ですがあまり焼き過ぎ(煮すぎ)ては折角の美味しさも半減してしまうのだそうです。
そこで今回は、「ふぐちり」はなぜに過ぎてはいけないのかを、お話していきます。
■ふぐちりとは
まず初めに、「ふぐちり」って何?と言われる方もいらっしゃるかもしれませんので、ふぐちりについてご説明します。
「ふぐちり」の「ちり」とは「ちり鍋」の事を指しています。
要するに「ふぐのちり鍋」の事ですね。
「ちり鍋」と聞くと「エビチリ」とかと同じで、スパイシーな味のイメージを持たれる方が多いかもしれませんが、実はこの「ちり」と「エビチリ」とは全く別の物なのです。
「ちり鍋」は基本的に、白身魚の切り身を野菜、豆腐などと一緒に水煮にした鍋の事を言います。
煮汁には味を付けず淡白な味わいが特徴です。
なので、食べる際には、アサツキやもみじおろし、七味唐辛子等の薬味とポン酢で食べるのです。
同じような料理に、水炊きなどがありますので、想像していただけると味は大体想像できるかと思います。
日本では「ふぐちり」という地方と「てっちり」と呼ぶ地方とがありますが、言葉は違えど同じ料理を指します。
何故「てっちり」と言われるようになったかというと、ふぐにはテトロドトキシンという推理映画や、サスペンスドラマ、某探偵アニメなどで耳にする青酸カリよりも強く、約850倍の毒の強さを有しています。
この為昔から、ふぐの毒で亡くなる人が多かったため、関西方面では「ふぐ」の事を「てっぽう」と呼んでいました。
これは、ふぐの毒に当たると死ぬという事と、弾に当たると死んでしまうという事をダジャレのように掛けて関西圏では「てっぽう」と呼んでいたようです。
そこから、「てっぽう」の「ちり鍋」なので「てっちり」と呼ぶようになったようです。
またこの「ふぐちり」や「てっちり」の「ちり」の解釈には、「毒に当たってしまうと命が散ってしまう」等の意味として解釈されている方たちもいらっしゃるようですが、基本的には「ちり鍋」の解釈であっているようです。
その証拠に、「鱈ちり」や「鯛ちり」等の「ちり鍋」がありますし、先ほどの水炊きも実は「ちり鍋の」一種に分類されているようです。
■なぜ焼き過ぎ(煮すぎ)注意か
鍋って比較的、食べ始めは良い煮込み具合で食べられるのですが、徐々に時間が経つにつれて、煮すぎてしまう傾向がありますよね。
これが、鶏肉などの肉を使った「ちり鍋」ならば良いのですが、魚を使った「ちり鍋」の場合は、とても注意が必要になってきます。
というのも、鶏肉などと比べて、魚の肉は比較的崩れやすいですよね。
どんなに大きな魚を入れていたとしても、煮込むと、骨から身が外れてしまったり、身と身がほぐれてしまいボロボロになってしまったという経験はありませんか?
これは、身の硬いふぐにも同様に言える事なのです。
というのも、確かにふぐの身は薄く引かないと刺身で美味しくいただく事は難しいくらい硬く弾力のある身なのですが、煮込むことによって、身と身がほぐれてしまい原型が無くなってしまうのです。
これは、硬い肉も煮込むことで柔らかくなってしまうのと同じなのです。
■煮すぎないようにするためには。
鍋をしていると、中には、野菜がくたくたになったのを好んで食べるような方も多く居らっしゃいます。
しかし、野菜がくたくたになるほど煮込んでしまうと、ふぐの身は確実にほぐれてしまい原型はとどめていないでしょう。
そこで、野菜などの時間のかかる食材を先に煮込み、メインのふぐの切り身は食べる前にいれるようにする事で煮すぎてしまう事は基本的に怒らないでしょう。
というのも、中には少し電話が長くなってしまい席に戻った時にはボロボロになってしまっていたなんて方もいらっしゃるので、そのような方は、できる限り取り皿に取ってから電話に出ると良いでしょう。
とにかく、煮すぎて原型をとどめていないというのが、勿体ないと私は思うのです。
ふぐと一言で言っても、そこそこのお値段もする高級食材ですので、できるだけ美味しいタイミングで召し上がっていただきたいものです。
しかし、ふぐには先ほどもお話ししましたが、年間に多くの方が、ふぐ毒の中毒になられています。
ふぐには毒のある場所も多いので絶対に素人調理でのふぐ食はやめてくださいね。
先にお話ししたように、当たると死ぬ可能性もありますので、しっかり専門の方が捌いた物を絶対にたべれる様にかんばります。