とらふぐと言えば、ふぐの中でも高級なふぐであり、ふぐの王様と言われているふぐです。
とらふぐは皮も身も白子も食べる事ができるふぐであり、大きさも他のふぐと比べて大きくなります。
そんなとらふぐですから、古くから高額で取引をされているなど、日本人に昔から愛されたふぐでもあります。
しかし近年では乱獲などの煽りを受けて、漁獲量も減っており価格が高騰していました。
そんな状況を打開したのが養殖のとらふぐだったのですが、養殖のとらふぐには有毒な物と無毒な物があるようで、何がそんなに違うの?と思う人も多いのではないでしょうか。
基本的にふぐの養殖で有毒のふぐと無毒のふぐとの違いは、養殖の方法によるものだという人もおおいですが、エサにおいても重要なのです。
たとえば、ふぐを隔離して有毒な生物と切り離したとしても養殖するうえで与えるエサが有毒な物では有毒なふぐになってしまいますし、無毒な物であれば無毒なふぐになるのです。
では養殖のふぐはどの様な餌を食べて居るのかを見ていきましょう。
□養殖のふぐに与えるエサは2種類
基本的に養殖ふぐに与えるエサには2種類あります。
1つはモイスペレットもう一つはドライペレットというものです。
昔は、モイスペレットとドライペレットのほかに生エサもあったようですが、エサとなる小魚が大量に必要になってしまうという状況から、現在は生エサとマッシュと言われる魚粉などを混ぜてふぐに与えています。
モイスペレットは、モイス(水分)を含んでいる餌であり、生エサに比べて魚の接餌率が高いため、食べ残しが少なく観光汚染が少なくなります。
また、品質の安定性や栄養バランスの面からみても生の餌に比べると優れており、バランスの調整も簡単にできるというメリットがあります。
それに比べドライペレットは水分を含まない乾燥した餌であり、品質が生エサ・モイスペレットに比べて安定しており、モイスペレットよりも魚の接餌率が高くなり、モイスペレットよりも環境汚染が少なくなります。
また乾燥していますので品質の管理がしやすく、養殖魚の種類によっては機械で自動的に給餌できる場合もあります。
このように、養殖場で扱われている餌には2種類のペレットがあります。
またふぐの餌の場合には、魚粉の中にテトロドトキシが含まれている物と含まれていないものがあるため、有毒な餌と無毒な餌があるようです。
□なぜ有毒な餌と無毒な餌があるの?
通常は魚の養殖において毒の入っている餌は与えませんが、ふぐにおいては有毒な物を与える事があります。
その理由としては、ふぐは多少の毒が体内になければストレスがかかってしまうためという理由と、寄生虫などの被害を減らすためです。
特にストレスについては非常に問題で、ふぐはストレスがたまると共食いや噛み合いをしますので、ふぐが死んでしまう可能性があります。
そのため、養殖場によっては有毒の餌を与えているところがあり、無毒な餌を与えている養殖場よりも多いようです。
無毒の餌を与える場合には多くのリスクがありますし、無毒のふぐを作っても現段階ではふぐの可食部は決まっていますので、無理に無毒のふぐを育てる必要はない!とかんがえている養殖場も多いようです。
そんななか無毒のふぐを育てている養殖場もあるのですが、そんな養殖場のふぐでも肝などは食べてはいけないとされていますので、現状では無毒のふぐを育てるのは無駄なように見えている人が多いかもしれません。
□無毒のふぐ養殖が難しい理由とは?
無毒のふぐを養殖している養殖業者は圧倒的に少なくなっています。
これは無毒のふぐを育てるのが難しいからだと言われています。
有毒のふぐであれば養殖の生け簀などにはほとんど気を配ることはないでしょうが、無毒となると、底に付かないように、外部の生物が入り込まないようにと多くの気配りが必要になります。
というのも、ふぐの養殖生け簀の中に1匹でも有毒の個体ができてしまうと、生け簀内全てのふぐが有毒化してしまいますし、生け簀を底に付けると有毒化に必要なテトロドトキシを持った生物が生け簀内に入り込んでしまう可能性があります。
また有毒なふぐが生け簀内に紛れてしまう事もありますので、本当に無毒のふぐを育てるのには、かなりの気配りが必要になるのです。
そのため、中には海の中で養殖をしない陸上養殖という形をとっている養殖場もあり、海から汲み上げた水を煮沸し利用し外からの生物が絶対に入り込まないようにしているようです。
このようにふぐの養殖と一言で言っても、その手法は様々でなかなか難しく気を使うようですね。
ふぐの餌に種類があるのも、この気を使った結果の表れだと言えるでしょう。
最近は天然のとらふぐにも劣らないほどの養殖のとらふぐもあるようですので、機会があったら養殖のとらふぐも食べてみてはいかがでしょうか。
おそらく養殖とはわからないという方が多いと思いますよ。