ふぐと言えば高級魚であり、猛毒を持っている魚として有名ですよね。
毒のあるふぐですが、しっかりと処理をすると安全に食べる事ができるようになりますよね。
ふぐを処理する際に必要になるのが捌く、開くという事です。
日本には大きく分けて背開きと腹開きの二つが有りますが、ふぐを捌く時には背開きと腹開きどちらを利用しているのでしょうか。
因みに腹開きを関西おろし(関西開き)背開きを関東おろし(関東開き)と言われているようです.
この二つの捌き方の違いを知っているという方も多いかもしれませんが、今回は二つの捌き方の違いと、ふぐはどちらの捌き方が基本なのかと言う事についてご紹介します。
□関東おろしと関西おろしの違いは?
魚を捌く際に使用される関西おろしと関東おろしの違いって、一目で見ると分かりやすいですよね。
冒頭でもお話しをした様に、背中側から開くのか、お腹側から開くのかの違いです。
この違いですがなぜ関東おろし(関東開き)・関西おろし(関西開き)と呼ばれているかご存知でしょうか?
特にこの関西開きだとか、関東開きだとか言われる物の代表はウナギです。
その呼び方が他の魚に単純に浸透しているだけで、背開き・腹開きで覚えておくと良いでしょう。
そんなウナギなのですが、ウナギには助骨がありませんので、腹開き(関西おろし)には相当な包丁の腕が要求されていたそうです。
ですが関東の料理人は、魚を捌くという事があまりなかったのか、腕があまり良くなかったとされています。
その為腕の良い関西の料理人は腹開き、あまり腕が良くない関東の料理人は背開きを行ったとされる説があるようです。
しかし、関西でも関東でも同じ日本ですし、川や海に生息している魚はほとんど変わらなかったはずですから、この説はなんだかしっくりこないと思う方も少なくはないでしょう。
そんな中もう一つの説が有りますのでご紹介します。
その説と言うのは、関東(江戸)は日本でも大きな武士社会が形成されていたため、多くの侍が住んでいました。
そんな侍の不祥事の責任の取り方と言うと、今や海外の方も知っている「ハラキリ」所謂「切腹」と言うそれはそれは凄い方法だったのです。
そんな強烈な切腹と言う文化の強い江戸ですから、勿論魚であっても腹開きは切腹を連想してしまう為、背開きの文化が定着したと言われているようです。
一方関西には、楽市楽座なるものがあり、商人の文化だった為に「隠し事をしない・腹を割って話す」という意を込めて腹開きの文化を作ったようです。
□ふぐは関東開き?関西開き?
では本題のふぐは関西開きなのか?それとも関東開きなのか?という事なのですが、皆さんはどちらだと思いますか?
やはり食べる場所によって開き方が変わると考えるという方も少なくはないでしょう。
ですが基本的にふぐは腹開き(関西開き)が主流です。
中には関東開きをしているという料亭やお店もあるかもしれませんが、基本的に関西おろしをするのが捌き易いですよね。
と言うのもふぐの体の構造上背中には大きな骨が入っており、その骨がお腹付近まで覆う様にまさに鎧の様に入っています。
その為背中側から捌くのは困難になっていますので、基本はお腹側から捌く事になります。
また皆さんもご存知か都は思いますが、ふぐの体内にはテトロドトキシンと言う猛毒が含まれている為しっかりと除去をしなければとても危険なのです。
特に内臓には多くのテトロドトキシンが含まれている為、本当にしっかりとした除去が求められるのです。
この除去をする際に背中側から捌くととても作業がし辛くなってしまうので、お腹側から捌くという事が基本になり得るのです。
□身欠きふぐはほとんど腹開き
ふぐは基本的に腹開きだとお話をしましたが、身欠きふぐを想像していただくと何となく理解をしていただけるのではないでしょうか。
身欠きふぐの場合には骨に身が付いた状態で販売されていますよね
骨があるという事は背中側から捌いてあるはずはなく、間違いなくお腹側から捌かれているという証拠なのです。
私だけかもしれませんが、背開きの身欠きふぐを見たことは無いかなぁと思います。
また干物や一夜干しなどにする物は基本的に骨を残して開きますので、花びらきが主流になります。
これは身崩れを防止するという考えがありとても理にかなった捌きかただなと思います。
□背開きと腹開きどちらが簡単?
ふぐには腹開きが主流だとお話しをしましたが、ふぐに関わらず魚を捌く時にはどちらが簡単なの?と思う方も少なくはありませんよね。
魚を捌く際にかんたんなのは、私は背開きかなと思います。
さらに骨に沿って開き内臓を傷つけない事で、簡単に内蔵の処理もふぐ以外の魚であればできますよね。
ですからふぐでなければ背開きをオススメします。
ふぐは腹開きをしてくださいという意味ではなく、あくまでもふぐは危険ですからしっかりとした処理が必要ですので、自分では捌かない様にしてくださいね。