ふぐと言えば高級魚だとイメージが強い魚ですよね。
確かに他の日本料理に比べると、高級な料理になってしまいますので、その料理の材料となるふぐは必然的に高級食材になってしまうのは仕方がない事だと言えるでしょう。
そんなふぐですが、ふぐの体内には猛毒として知られるテトロドトキシンが多く含まれているという事は日本人ならば誰もが知っている事ではないでしょうか。
そんなふぐですが、毒と聞くと確かに危険だと認識をしてしまいがちですが、実はふぐの危険な部分は毒だけではないと知っている方はどれくらい居らっしゃるでしょうか。
これは釣り人の中では常識なのですが、ふぐの歯はとても強力で口の中に指を入れるなんて事はみんなしません。
そんなふぐの歯なのですが、捌く際に噛みつかれる可能性もあるようで、〆たあとも注意が必要だと言われています。
〆た後になぜ危険があるの?と思う人も居ますよね。
そこで今回は〆た後のふぐの危険性についてご紹介します。
□ふぐは活き〆が基本
〆た後のふぐが危険なのはふぐの〆方にあります。
基本的にふぐは活きている物を使用して料理をします。
生きていますので勿論元気が良いのですが、ふぐを〆る時には活き〆と言われる方法が取られます。
活き〆とは、簡単に言うと神経〆と言われる方法です。
神経を抜くという様な言い方をされる事もありますが、言ってみれば神経に傷を入れて動けなくしてしまうという事です。
この活き〆をする事でどのような効果があるのかと言うと、暴れませんので噛みつかれる可能性が低くなりますので安全に捌く事ができます。
さらに暴れない為に、ふぐの体温が上昇してしまう事を防ぎますので、血が回って身が焼けてしまうという事を防ぐ事ができるのです。
ふぐ以外の魚にもこの活き〆を利用する事も多く、鮮度を保つ方法として重宝されています。
活き〆の他には野〆と言う方法もありますが、これは比較的地引網などで大量に漁獲される魚種などに使われる方法で、氷の中に生きたまま放り込むなどの方法を言います。
ふぐの場合には延縄ですし、基本的には活きているふぐを利用しますので活き〆を行って捌くという風習があるようです。
また活き〆の方が鮮度も保たれますので、時間を掛けて食べられる事の多いふぐはいつまでも鮮度を保つという意味でも活き〆を利用されるのです。
□なぜ〆たふぐの口が危険なの?
ふぐを〆る時に使用される方法は活き〆だというのは上述した通りなのですが、この方法は基本的に動けなくしているというだけで、死んでいるわけではありません。
その為〆た後もふぐは活きていますので口は勿論動きます。
例えば高所から落下して大けがを負った人を想像していただけると良いのですが、そのような場合に体は動かないけれど意識もあり、中には話をできる人も多いですよね。
言ってみれば活き〆をされたふぐは、この神経損傷の状態なのです。
そんなふぐの口もとに手を置いてしまうと、体は動きませんが口は動きますから、勿論噛みつきます。
そうするととらふぐの口は比較的大きいので、人間の指なんて簡単に入ってしまいますし、鋭い歯を持っていますので噛み千切られてしまうという事になるのです。
鋭いといってもそんな人の指を噛みちぎる何て、大げさだなと思う人も少なくはないでしょうが、ふぐの歯はきっと皆さんが思っている以上に危険な物です。
どれくらい鋭く危険なのかと言うと、ふぐを釣った事のある人はわかるかと思いますが、ふぐ釣りにはワイヤーを使用します。
大型のふぐになるとこのワイヤーでさえ噛み千切る事もありますし、アルミ缶くらいならふぐの歯で簡単に切る事ができます。
そんな柔い素材と人の指、骨を一緒にしないでという方もいますよね。
では考えてみてください。
ふぐのエサを何でしょうか?
正解は固い殻をもつ貝やヒトデなどです。
貝を捕食する際には、殻を自慢の歯で噛み砕いて中の貝を食べるほどです。
私たちの指や骨はこの貝よりも固くはなく、ふぐにとってはヒトデや貝を噛み砕く事とさほど変わりはありません。
ですから人の指くらいなら簡単に噛み千切る事ができてしまうのです。
その為、熟練のふぐ調理師の方も捌く際にはふぐの口に注意をして捌かれます。
そんな知識がない素人の私たちが、ふぐを活き〆にして捌いてしまうと、不意にふぐの口もとに指を近づけてしまい噛まれてしまう、もしくは噛み千切られてしまうという事故に繋がってしまうのです。
□ふぐは素人は捌かない
ふぐを自分で捌いて、中毒症状を起こして病院へ運ばれてしまうという方が年間に数十人
います。
確かにふぐにはテトロドトキシンと言う強力な毒があり危険な為、素人調理は勿論危険なのですが、鋭い歯を持っていますのでやはり素人調理はとても危険な物なのです。
怪我をして後悔をしてしまう前に、危険だと認識してふぐを食べる際にはプロの人に調理を依頼するか、プロが捌いた物を食べるようにしましょう。