ふぐの美味しい季節
日本を代表する和食食材の1つふぐ、そんなふぐの中でも更にふぐを代表しふぐの王様として名高い高級魚がとらふぐです。
高たんぱく低カロリーで体にも良く滋養強壮の効果があり、歯ごたえの良いふぐ刺しは絶品で、美食家として名高い、あの魯山人に「ふぐの代用になる美食を、私は知らない」とうならせたほどです。
淡白でありながら、奥深い味わいが、今もなお多くの美食家たちを魅了し続けています。
日本で最初にふぐが解禁された県は山口県の下関でした、「下関のふぐには毒を見ず」という言葉はあまりに有名ですよね。
このことから、下関でのふぐに関する技術は発達し、毒のある部分を取り除いた身欠きという物が発明され、「下関に上がって初めてふぐになる」と言われたほどでした。
そんな数多くの日本人たちの心を鷲掴みにしてきたふぐ、その中でも高級魚として君臨し続けるとらふぐの一年で一番美味しい季節はいつなのでしょうか。
今回は、とらふぐの美味しい季節についてご紹介いたします。
■ふぐの美味しいとされる時期は意外と長い
普通魚の旬と言えば約1ヵ月から2か月くらいではないでしょうか。
例えばブリなどの青物系の魚は釣ろうと思えば、一年中釣る事は可能ですが、やはり夏のブリよりも冬のブリの方が、脂がのっていてやはり美味しいですよね。
冬と言っても1月から2月の一年間で一番冷え込む時期が一番油が乗っていて美味しいのですが、ふぐの場合は少し長いようですというよりも、冬とか春と言った季節に限定されていないのが、特徴です。
一般的に、ふぐの旬はと言えば「秋の彼岸から春の彼岸まで」と言われています。
そう考えると、ほぼ半年間ほどがふぐの旬という事になってしまいます、
これはふぐ漁が行われて、多くのふぐがこの時期に市場に並ぶからではないでしょうか。
漁期の間を旬と言ってしまうのは少し卑怯というか、違うのではないかと思ってしまいますよね。
では、ふぐの本当に一番美味しい季節というのはいつなのでしょうか。
■本当に美味しいのは
ふぐが美味しい季節を特定するためにはまずふぐの産卵時期などを知る必要が大切です。
というのもふぐの白子ははとても美味しく、更にふぐは産卵の為に日本沿岸に近づいてくるため、本当の旬の時期になると、産卵の前には白子も充実しています。
そう考えると、ふぐの産卵時期は冬であると思われがちですが、これは一般的なふぐの場合であり、とらふぐの場合は少々時期がずれてきます。
というのも、とらふぐの場合は、春から初夏にかけて産卵期が到来しますので、初夏の産卵期に向けて、栄養や、白子を充実させている3月から4月ごろが一番美味しいのではないでしょうか。
■冬が美味しいふぐ鍋
冬は寒くなりますので、やはり鍋物が美味しい季節になりますよね。
ふぐの食べ方の代表格として、ふぐ鍋(ふぐちり)という物があります。
このふぐ鍋に柑橘類を添えて食べるだけで、その美味しさはより一層際立ちます。
冬の寒い時期に、ふぐ鍋を食べて温まり、更にはそのお供として、柑橘類やヒレ酒などがあると体はポカポカですし、至福のひと時ではないでしょうか。
これを考えると、一般的なふぐの最大の旬が冬で間違いないという気持ちになってきますね。
しかし、ふぐ鍋に柑橘類が定番になっているのは現代人だけの様です。
その理由として、江戸時代ごろはふぐ鍋を作る際に夏野菜を使っていたなどの情報も残っていることから、昔は本当にとらふぐの産卵時期真っ只中に捕獲して食卓に並んでいたことがうかがい知れるのではないでしょうか。
■いつでも美味しいふぐが食べられる
天然の物を食べる時に気になるのが旬なのですが、現在はいつでも美味しいふぐが食べたい、または提供したいという事から、ふぐの養殖がおこなわれています。
いつでも美味しいふぐというと、旬のふぐの価値が下がってしまうような気がしますが、養殖物は天然ものには、やはり遠く及ばない為天然ものに比べると値段も安く出回っています。
養殖物のメリットとしては、安心・安全で提供できる量が天然ものと比べると、安定していると言ったところです。
この安定供給の為金額が安いのですが、養殖物であれば、ニュータイプのふぐが生まれる可能性は低いので確かに安心に食べる事ができる様です。
しかし、このまま更に養殖技術が進歩する事でいつでも産卵期前の状態のふぐを出荷できるようになってしまう恐れもあるのではないでしょうか。
そうする事で、リーズナブルな金額でふぐを食べる事ができる世の中が来るかもしれませんね。
■とらふぐの旬は
産卵前が美味しいとされるふぐですが、ふぐ刺しだけを食べるのであれば、確かに産卵時期や産卵前が一番美味しいのでしょう。
しかし、ふぐのお供になる野菜や、柑橘類、またふぐには体を温める様な料理が多いですので、そのような様々な要因を考慮するとやはり冬のとらふぐが一番という話には頷けるかと思います。
旬のとらふぐを是非一度食べてみてはいかがでしょうか。