日本を代表する料理と言えばふぐ料理ですよね。
確かに寿司や天ぷらなんて方もいらっしゃいますが、食材としてのふぐは、天ぷらにもできますし寿司にだってできます。
ですから、日本を代表する料理のほとんどに利用ができるのがふぐなのです。
そんなふぐですが、体内にテトロドトキシンというとても強力な毒を持っている事でも有名なのですが、この毒は青酸カリというサスペンスなどに出てくる毒と比べても、850倍以上の強さを持っていますので、かなり強力なのです。
おそらく工場や医療の現場で使われるような事があれば、その危険性ゆえに厳重に保管される事でしょう。
そんな強い毒であるテトロドトキシンが多く含まれているふぐですが、ふぐの体内でも
最も多くテトロドトキシンが含まれている場所は、肝臓（肝）と卵巣だと言われていて、この部位は絶対に食べてはいけないと言われていました。
しかし、この危険な卵巣を食べるという地域があり、食べた人は元気に生活をしているというのですから驚きですよね。
そこで今回はこのふぐの卵巣の食べ方についてご紹介します。
■なぜ卵巣は食べてはならないのか
卵巣を食べる地域があるというお話をする前になぜふぐの卵巣を食べてはいけないのでしょうか。
それは、冒頭でもお話ししたようにふぐにはテトロドトキシンというとても強力な毒がある為です。
この毒は基本的には血液中に含まれていると言われているのですが、血液中に含まれているという事は、ふぐの体内はほとんどテトロドトキシンを含んでいるという事になるのです。
そんなテトロドトキシンは基本的には、血中の栄養成分と一緒にふぐの体内を回っていますので、勿論生物学的に栄養が多く集まる部分には比較的多い量のテトロドトキシンが集まり蓄積されてしまうのです。
その為肝臓や卵巣という部分には多くのテトロドトキシンが蓄積されている為、食べてしまうととても危険だと言われているのです。
そんな卵巣を食べようと思いますか？おそらく普通の考えの方はまずどうにかして食べようとは思わないはずです。
しかしこれを食べてしまう集落が現れたのです。
そもそもふぐの肝に関しては、食用禁止とされていますが卵巣においては食用禁止にはなっておらず、それはおそらくふぐを解禁してこの部位が危険とされた時点では、すでに卵巣が食べられていたからではないでしょうか。
■ふぐの卵巣を食べるのはどこ？
ふぐの卵巣を食べるのは、石川県の美川地域や金沢市の金石、大野地区などで、この地域では古くから、ふぐの卵巣を塩漬けや糠漬けにした物を郷土料理として食されています。
基本的には卵巣はテトロドトキシンが多く含まれていて食用には向かないのですが、塩漬けや糠漬けにして2年ほどおいておくとテトロドトキシンが抜けて、食べることができるようになるようなのです。
基本的な魚卵の塩漬けなどと比べると、漬ける期間が長くなってしまう為、塩気が強く少々塩辛いようですが、アジはとても濃厚で、ご飯のお供や酒の肴として重宝されており、人気の郷土料理のようです。
そんな少々塩っ気の強いふぐの卵巣ですが、お茶漬けやパスタなどにも利用されており、まさか強力な毒を持ったふぐの卵巣で、食品衛生法で食用が基本的に禁止されているものだとは思えないほどなのです。
そんなふぐの卵巣を加工しているのはこの美川、金石、大野地区のみにしか無く日本全国を見ても珍しい物なのです。
しかし新潟県佐渡市にもふぐの卵巣の粕漬けや福井県の高浜町には塩や酒かすに付け込んだ物で「福の子」という料理もある為、東北ではふぐの卵巣を古くから食されていたようです。
■なぜテトロドトキシンが抜けてしまうのか？
何故2年間漬け込んだだけで、ふぐの毒である猛毒のテトロドトキシンが抜けるのか？と思う方もいらっしゃいますが、この毒が抜けてしまう原理というのは良く分かっていません。
もしも、この方法で毒が抜けるというのがなぜなのかという事が分かると、ふぐの毒に関して怖がることなく、素人でも食べることができる様になるのかもしれません。
ですが基本は熱でも分解されないテトロドトキシンですから、卵巣が食べられるらしいと、煮たり焼いたりして食べるという事はしない様にしましょう。
■卵巣の糠漬けが気になる人へ
ふぐの卵巣の糠漬けが気になるという方も多いのではないでしょうか。
そんな中でもしかしたら、自分で作って食べてみようかなと考える方も少なからずいらっしゃるかもしれません。
しかし2年間でどれくらいテトロドトキシンが抜けるのか、何がテトロドトキシンを抜いているのかが分かっていませんので、もしかしたら自分で作ると、テトロドトキシンが抜けていない可能性もあります。
ですからできれば自分で作るのではなく、正規品を購入される事をおすすめします。
今やインターネットで検索すると、購入サイトもありますので、作るよりも安全に食べることができますよ。
