「ふぐ食の歴史」
ふぐは昔から多くの人たちを魅了してきました。
しかし、世界の人たちの中には、日本人のふぐを食べるという行為に対して賛否両論あるようで、ふぐ食はまさに日本の歴史の一部だと言っても良いでしょう。
しかし賛否両論あるものの、最近では海外の観光客の中には、ふぐを食べて帰る観光客も増加しているようです。
このような話を聞くとふぐを食べて毒にあたって死んでしまうと言いうのは、古い昔の葉のように感じてしまいますよね。
しかし、実際にはふぐの毒に当たってしまう人が年間に結構いるというのです。
最近は、食品衛生法や自治体単位でのふぐの処理方法などが決められている為、昔ほどふぐが危険だと思われなくなったのが一つの原因だと言えるかもしれません。
そもそもふぐに当たる人のほとんどは素人の調理よっての被害報告になっているようなので、現代人も昔の人も大して変わらないなと思えてきます。
しかし、そんなふぐを食べる日本ですが、ふぐ食を日本食の中に取り込んでいるからにはさぞふぐ食の歴史が長いのかと思ってしまいますよね。
しかし、本格的にふぐが有名になったのは明治になってからの様です。
というのも、流通などの関係から山間の住民などはふぐを見たことも無いという人も多かったそうですよ。
しかし、本格的に広まったのが明治と言ってもきっとその前にふぐは食べられていたはずなのです。
一体日本人はいつごろからふぐを食していたのでしょうか。
少し前置きが長くなりましたが、今回はふぐ食の歴史を紐解いてみましょう。
■ふぐ食の歴史は2500年前まで遡る
ふぐ食が最初に文献に出てくるのは実は日本ではありません。
ふぐが文献に出てくるのは中国なのです。
中国には黄河などに生息している河ふぐを食べる文化があったので何も不思議な事ではありません。
というのも河豚という漢字はもともと中国の河ふぐが発祥だと言われているからです。
では日本のふぐ食はというと、縄文時代と言われています。
実は縄文時代の貝塚からふぐの歯や骨といった物が出土しているのですが、この事から日本のふぐ食の歴史は縄文時代ごろと言われています。
その後の平安時代の文献には布久(フク)という名前で登場している事から縄文時代に食べ始められたふぐ食が順調に普及してきたという事ではないでしょうか。
という事は、ひょっとしたら聖徳太子や卑弥呼等の歴史上の人物もふぐを食べていたのかもしれませんね。
その頃は、今みたいに料亭などは無かったでしょうから、調理を担当する人が調理して食べていたのかもしれません。
そう考えるとふぐに歴史のロマンを感じてしまうのは私だけではないのではないでしょうか。
■禁止令、解禁そして普及
縄文時代から順調に普及してきたふぐ食ですが、安土桃山時代ごろに陰りを見せます。
それは、文禄・慶長の役により九州地方に集結した武士の間で、ふぐ中毒で死亡する人が相次いだのです。
この為秀吉はふぐ禁止令を全国に発布しました。
その後江戸時代でも武士に対してはふぐ食を禁止する藩が多く、特に長州藩は厳しい物でした。
潜職の禁を犯した者がいた場合には家禄没収などの厳しい処分が下されるなど本格的な禁止令となっていたのです。
しかし以外にも禁止されていたのは武士だけだったため町民の間ではひっそりとふぐ食が続いていたようです。
江戸時代は食文化も発達した時代であり、1643年に記録された料理に関する書物の中に、ふぐの調理法として「ふぐとう汁」という物が記されています。
この中には、現在の河豚の下処理の方法にも通じる処理の方法が記されている他、味付けの方法等ふぐの調理に関することからふぐとう汁の作り方まで書いてあります。
また松尾芭蕉や小林一茶らにはふぐに関する逸話なども残っているなど、日本の歴史に度々顔を出すふぐ食が再び脚光を浴びる様になるのが、明治時代になってからでした。
それまでは、長年にわたって禁止されていたため時代の表舞台になかなか出てくることのなかったふぐですが、伊藤博文が山口県の下関に訪問していた際にふぐを食して「下関のふぐに毒は無し」といしてふぐ食の解禁を宣言したことがきっかけだったのです。
このお墨付きをもらった下関ではあっという間にふぐ食が普及し全国へその名を轟かすふぐ料理の本場としての地位を確立していくのです。
またこうしたふぐ料理が日本中へ広がっていくにつれて多くの都市でふぐ料理の専門店が増えていき今の日本の河豚食文化が確立されていったと言われているのです。
■ふぐの犠牲になった人がたくさんいた
今の河豚食文化を見ているとあまり感じませんが、ふぐ食の始まりから今の文化が確立するまでに多くの人がふぐ毒の犠牲になっているのですが、そのような勇気ある挑戦者の「おかげでふぐが食べられるようになったと言っても過言ではないでしょう。
ふぐは古くから食べられていたので、これからふぐを食べる機会がある際には自分の憧れの歴史上の人物も食べていたかもしれないと想像して食べるとより楽しくそして美味しく食べる事が出来そうですね。