寒い季節になると恋しくなるのが温かい食べ物ですよね。
暖かい食べ物で思い浮かぶ料理と言えばなんでしょうか?
おでん・しゃぶしゃぶ・すき焼きなど沢山ありますが、みんなでワイワイ1つの鍋を囲んで楽しく食べるならやっぱり鍋ですよね。
鍋の具にもいろいろ種類がありますので、一人一人好きな具があるでしょう。
寒い時期に旬を迎える魚は多くいますが、どんな魚でもふぐにはかなわないのではないでしょうか。
ふぐと言えばてっさ(刺身)や天ぷらなどのイメージが強いという人も多いのではないでしょうか。
しかし昔からふぐと言えばてっちり(ちり鍋)と言う楽しみ方の方が主流だったようです。
今回はそんなふぐの鍋てっちりについてご紹介します。
昔は鍋の具が主流?
ふぐと言えば冒頭でもお話したように刺身(てっさ)と言うイメージが強い人も多いのではないでしょうか。
確かに現在は流通が発達していますので、海辺で取れた魚を内陸の地方でも新鮮な状態で食べる事ができますので、どこへ行っても刺身で食べるという事が可能です。
そのため最近ではふぐの料理と言えば刺身だと定着してきました。
しかし昔はと言うと、今のように流通機関がしっかりとしていたわけでもなければ、保存技術もしっかりとしていたわけではなく、内陸の町に持っていくとどうしても刺身で食べる事ができるほど新鮮ではありませんでした。
そのため昔は火を通して食べるというのが主流で、ふぐの刺身は本当に産地に行かなくては食べる事ができませんでした。
そんな中で人々がこよなく愛したふぐ料理はちり鍋であり、フグの毒を中和するために多くの野菜などと一緒に食べられていたそうです。
毒がそれで中和されていたかどうかと言うととても怪しいですが。
昔は結構信じられていた迷信だったみたいですよ。
ふぐ鍋を題材にした小話もある?
実はふぐ鍋を題材にした小話もあるほどに、ふぐと言えば鍋だったみたいですね。
ふぐ鍋を題材にした小話ではふぐ汁と表現されており、ある一人の男が散歩をしていると両国橋の近くで騒いでいる若者と遭遇します。
この若者たちはふぐをもらったのですがふぐには毒がある為、鍋にしたは良いのですが食べる事が怖くてできずにいました。
すると男が橋の近くにいる乞食に毒身をさせてみてはと提案をします。
乞食にふぐ汁を渡した面々はその場を離れしばらくして戻ってきます。
乞食の元気な姿を見た若者たちはふぐ汁を食べてしまうのですが、なんと乞食はまだ食べておらず、逆に毒身をさせられる羽目になってしまうというお話です。
このように冬になると江戸の町でもフグ売りがフグを売りに来て民衆はそれを鍋にして食べて居たという事が落語の世界にもうかがい知ることができます。
ふぐちりってどんな鍋?
ふぐちりと言うとエビチリみたいに辛い鍋なのかな?なんて思ってしまう人も少なくはないですよね。
ふぐちりとはふぐ鍋の代表的な鍋の事です。
ふぐちりの「ちり」と言う言葉は白身魚の切り身を豆腐や野菜と一緒に水煮にした「ちり鍋」を意味しています。
ふぐのほかにも鯛で作ると鯛ちり何て呼ばれる事もあるようですよ。
ちり鍋とは何でしょう?というちり鍋を食べた事が無い人も居ますよね。
ちり鍋は切り身にした魚を鍋に入れるとチリチリと縮んでいく様子が語源とされていますが、鳥なんかでやる水炊きの魚バージョンと言えばイメージはできるでしょうか?
ちり鍋の語源には諸説ありますので、中には違うよ?という人も多いかもしれません。
ですがこのちり鍋寒い冬には体の中からあったまることができる一品ですので、是非友人や家族と鍋を囲んでみてはいかがでしょうか。
ふぐは本当に危険
ふぐの消費量が日本一と言われる大阪ではてっちりと呼ばれているのですが、この「てつ」と言う言葉実は鉄砲を意味する言葉で、ふぐの別名となっています。
大阪ではふぐの毒であるテトロドトキシンに当たると必ず死んでしまうという事を、織田信長がポルトガルから輸入した鉄砲も昔は当たったら必ず死んでしまう武器でしたので、この二つをかけてふぐを「てっぽう」と呼んでいたのです。
このように昔の人はふぐを楽しむ傍らでフグの毒の危険性を十分に理解してふぐを楽しんでいたのです。
しかし現代の私たちの中には、フグが安全に食べる事ができる世の中が当たり前すぎるからなのか、ふぐは危険だと言われているにも関わらず、自分で捌いて食べる人が後を絶ちません。
食べるだけならまだ良いでしょう。
それで毒にあたってしまっては、本当にどうしようもありません。
ふぐを安全に食べる事ができる世の中で、フグの金額は高くなったかもしれませんが、それでも危険を冒して食べる理由にはならないでしょう。
ふぐを食べる際には、しっかりとふぐ調理師が捌いた物を食べるようにしてくださいね。
今回ご紹介したふぐちり用のフグですが、お取り寄せで簡単に購入する事も出来ますので是非試してみてはいかがでしょうか。