「ふぐを禁止した人」
ふぐと言えば今や世界の人々にも誇れる日本の食文化となっています。
しかしこのふぐ食の文化に関しては海外では賛否両論あるようです。
まぁ確かに美味しいとは言え毒のある魚を食べるわけですから、日本人はなんてクレイジーな民族なんだと言われても何も不思議ではありませんよね。
しかし、もしもふぐに当たる人が多くなって牛レバーの様に国家の審議で、「ふぐは毒があって危険だから種類に限らず食べてはだめ」というような法律が制定されてしまうと、ふぐを食べる事ができなくなってしまうわけなのです。
現段階では、しっかりとした処理を下ふぐ料理を専門知識を持って資格を習得している調理師の方たちが提供してくれているのでそのような事が起こる事は無いだろうと思います。
しかし過去の日本にはふぐを食べる事を全面的に禁止されていた時代がありました。
しかもふぐ食を禁止としたのは、誰もが知っている超有名人だったのです。
今回はそんなふぐ食を禁止とした超有名人と経緯についてご紹介します。
■ふぐ食を禁止にした人物とは
ふぐ食を禁止にした超有名人とは誰だと思いますか。
ふぐ食を禁止にしたタイミングが朝鮮出兵と言えばわかる人にはわかるかと思いますが、それを行った人とは本名を「羽柴秀吉」という三英傑の一人なのです。
羽柴秀吉って誰?と思ってしまった人も居らっしゃいますかと思いますので、もっとわかりやすい名前を出すと「豊臣秀吉」です。
豊臣秀吉と言うとわかる人が増えるかと思いますが、どうして秀吉がふぐ食を禁止する必要があったのでしょうか。
■秀吉のふぐ禁止令の背景
ふぐ食の禁止令を全国的に強いた秀吉ですが、秀吉がふぐ食を禁止するに至った背景というのは、1592年の文禄の役まで遡ります。
文禄の役というのは、豊臣秀吉が約16万の兵を率いて朝鮮出兵を行った事を指すのですが、秀吉は朝鮮出兵の際に全国から兵士を集めたのですが、朝鮮へ出兵するには九州から出兵する事が良いと判断した秀吉は、兵の一時集結場所を今の山口県の下関に指定しました。
しかし、地方から来ている兵士がほとんどで、海沿いの村などから来ている者よりも山間の村から集結していたものの方が多かったそうです。
その為、とんでもない事件が起きてしまうのです。
その事件というのが、ふぐ毒による中毒死という物でした。
皆さんのお察しの通り山間の村から来ている兵士たちが海で釣りをするとふぐが釣れたのです。
しかしふぐを知らない兵士たちは、普通の魚同様の調理法でふぐを食べてしまったのです。
ふぐにはテトロドトキシンが合う為、勿論そのような調理法では毒を取り除く事ができておらず、食した兵が次々と中毒死を起こしってしまったのです。
朝鮮を攻めるために全国から集めた兵士たちがまだまだ攻め込む前にも関わらず次々と倒れていくそんな中秀吉は怒り心頭だったのでしょう。
ふぐ食による死者をこれ以上増やさないようにと、辻の町中にふぐ食の禁止札を立てさせて、ふぐの絵をかき「この魚食うべからず」とふぐ食を禁止してしまいました。
■その後数百年に渡って続いたふぐ食の禁止
秀吉が、ふぐ食を禁止し朝鮮出兵が終わった後もふぐ食の禁止令は続きました。
秀吉が死んで徳川幕府になっても続いていたのですが、基本的には武士に対する禁止令になっていったようで、町民の中ではひっそりとふぐ食の文化は受け継がれていきました。
しかし、一方ふぐ食に対する罰は厳しくなり、その中でも長州藩のふぐ禁止令への罰則は厳しい物で、家禄取り潰し等の厳しい罰までもあったようです。
しかし、このふぐ食禁止令を出した秀吉やその後の幕府の気持ちはわからなくもありませんよね。
おそらくこのふぐ食の禁止令を発令した秀吉は、出兵前に兵が減る事には勿論腹が立ったのでしょうが、武士たるもの戦場へ向かう途中で死んでしまうとは何事かとの思いもあったのではないかと思います。
更にその後の幕府や藩がふぐ食の禁止を継続したのには、武士は国や藩を守るための力ですので、その力がいざという時に足りないと言った状態になるのを嫌ったのではないかと思います。
この様に過去にふぐ食が禁止されて再び解禁されるまでに200年以上かかっています。
その間無くならなかったふぐ食の文化は、間違いなく日本の伝統と呼ぶにふさわしい物ではないでしょうか。
しかしその一方で現代にもふぐを自分で捌いて食してしまったために亡くなられる方や救急搬送される方などが毎年いらっしゃいます。
秀吉がふぐ食を禁止したのは自分たちで知識の無い兵士たちがふぐを食してしまい死者が多く出てしまったのが原因なのです。
その為、少数派ですがふぐによる被害事故が起こり続けてしまうと冒頭にお話したようなふぐ食を全面的に禁止する法律が制定されてしまう可能性はあると言えるのです。
そんな事になってしまわない為にも自分で捌いて食すなどという危険な事はしないようにしなければならないのです。