魚釣りが趣味だという方の中には、魚を釣り上げた際に黒っぽい物が付着している事があったという方は多いのではないでしょうか。
魚群を見ていても、それが何なのかわかるという方は少なく多くの場合には釣り上げてようやくその正体に気づくという事が多いようです。
中には気づかない方もいるかもしれませんね。
この黒っぽい塊は多くの魚に見られる事が多く、ボラやスズキなどの魚に付着している事が多くあります。
この塊の正体に気づくと、触る事を躊躇する方も少なくはないのではないでしょうか。
私もそんな躊躇する人の一人なのですが、この塊の正体はヒダビルというヒルの異臭なのです。
このヒダビルは良く淡水で生息している事が多く、まさか採水の魚に寄生しているなんて思っている方は少ないでしょう。
ですがヒダビルは基本的に淡水、海水どちらでも生息することができるいわばHYBRIDな種なのです。
そんなヒダビルがふぐにも付着している事があるらしいので今回は、このヒダビルについてご紹介します。
□ヒダビルとは
ヒダビルとは冒頭でもお話ししたように、ヒルの一種です。
ヒルといっても川や沼で人などに吸い付くヒルトは違い、魚に寄生する魚ビル科の一種で淡水にも海水にも生息しています。
宿主特異性としては強くなく、淡水ではコイ科サケ科などの魚から海産魚ではスズキやアジ科、タイ科やヒラメ科など多くの魚からヒダビルの寄生が確認されています。
最近ではボラなどに寄生している物が良く見られるなど、本当にどのような魚にも寄生してしまうのが、このヒダビルなのです。
ヒダビルの大きさは数センチから10数センチもある事もあり、魚の体表から肛門付近や鰭の付け根付近を始めあらゆる部位に寄生をするのです。
このヒダビルの恐ろしいところは数十センチのヒダビルが1匹付いていると通常他にはいないだろうと思いがちなのですが、数匹から10数匹のヒダビルが寄生している事が多く、魚1匹に多くのヒダビルが寄生する事なのです。
ヒダビルによる規制が確認されている季節としては、4~5月ごろが一番多く確認されているようです。
□ヒダビルが寄生すると魚はどうなるの?
ヒダビルに寄生された魚は吸血されてしまう訳ですから、貧血状態になってしまいます。
貧血にはなるのですが、ヒダビルが寄生したからといって魚が死んでしまうという事は無く、規制されていた部位に少々傷が付いてしまうという問題は発生しているようです。
しかしこのヒダビルが問題視されているのには、ヒダビルの寄生により商品価値としての魚の価格が下がってしまう事にあるのです。
というのも、傷が付いている魚というのはそれだけで価格が下がってしまうのですが、傷のついている部位によってはさらに値段が下がってしまう事が海上養殖の現場でも問題視されています。
□ふぐにも寄生するの?
ここで気になるのがこのヒダビルはふぐにも寄生をするのかという事なのですよね。
ふぐと言うと猛毒であるテトロドトキシンを体内に多く含んでいる為、人にも海洋生物にとっても危険な魚だとされています。
またふぐの天敵を検索してもふぐを食べる海洋生物は確認されていないのか、出てこないのが現状です。
ふぐのテトロドトキシンは猛毒として知られる青酸カリの850倍ほどの毒素だと言われており、その危険性は自然界でも10本の指に入る事でしょう。
ふぐの毒が含まれているのは、皆さんもご損時の様に内臓だけではなく血液中にも多く含まれているため、血を飲むだけでも危険なのです。
そんなふぐに寄生をして血液を吸血するはずが無いと思われがちなのですが、実はこのヒダビルはふぐにもしっかりと寄生をする事が確認されています。
ふぐと言えば高級魚ですから傷が入ってしまうと通常の魚よりも値段が下がってしまう為、やはり寄生されてしまうのは良い傾向ではないと言えるでしょう。
ではどのようにヒダビルに対して野対策を取られているのでしょうか。
□ヒダビルへの対策は?
基本的にヒダビルは淡水でも海水でも生息ができる為、淡水につけたくらいでは全く効果が無く、駆虫する事はできません。
その為対処法は銀イオンによる治療が有効的だと言われています。
しかし養殖の現場や漁の現場において銀イオンを利用して治療を行う事は実質的に不可能な為、寄生しているヒルを魚体から引き抜くしか手はないと言われているのです。
□釣りや魚屋でヒダビルが付いている魚体を見かけたら?
魚釣りに出かけてヒダビルが付いていたり魚屋でそのような魚体を見つけたりする事があるかもしれませんよね。
しかしそんな時にヒダビルが付いているから食べられないという事は全くなく、傷物であるけれど普通の物と変わらない、もしくは寄生虫が好むほど美味しそうな個体だったと思って見てはいかがでしょうか。
ふぐに関しては捌かれた物しか提供を受ける事ができませんので、基本的にその個体にヒダビルが付いていたかどうかという事は、確認はできませんよね。
ですがもしかしたら安く売られているふぐにはそのような理由があるかもしれませんね。
もし捌かれる前のふぐを見る機会があればヒダビルの痕を見つけてみるのも楽しいかもしれませんね。