「身欠きふぐを捌く時の注意点」
想像を絶するほどのふぐですが、昔から多くの人々を魅了してきました。
そんなふぐも昔は流通が整っていなかった事もあり、見たことが無いという人々もいたようです。
その為、豊臣配下の兵士たちが、調理法を誤り多くの命が犠牲になり、ふぐ食の禁止令が出されたほどです。
明治以降は、山口県下関のふぐを食べた時の総理大臣伊藤博文により、山口県下関のみの解禁が言い渡され、今のふぐ文化が始まったのです。
そんなふぐも、今では情報化社会の波に乗り簡単に入手する事もできるようになりました。
特に、刺身にした状態の「てっさ」やぶつ切りの「てっちりの具」といったものは人気が高く、多くの方たちが購入されているようです。
そんな中、身欠きふぐという少し特殊なふぐ製品がある事をご存知でしょうか。
身欠きとは、食べる事の出来ない部分を取り除き、食べる事の出来る部分のみにされたものの事を言います。
ふぐの場合は食べられない部分というと、内臓などの毒を有する部分を指すかと思います。
そんなふぐの有毒な内臓や、ヒレと言った部分を取り除き、安全に食べる事ができるように加工された物が、身欠きふぐという物です。
ふぐの場合と言いましたが、ふぐ以外にも身欠きはあります。
種類としては、マグロや鯛といった魚を身欠きで提供しているようですよ。
しかし、この身欠きふぐですが購入するのは良いですが、捌き方が分からないという方も少なくは無いかと思います。
というのも身欠きふぐは、有毒部分が無いだけで、骨などはそのまま残っていますし、普通の魚とは違い平ではないので、捌くのに戸惑ってしまう事でしょう。
そこで今回は身欠きふぐの捌き方をご紹介いたします。
■まずはボイル
身欠きふぐの最大の魅力と言えば、やはり刺身が引けるという事ではないでしょうか。
そこで、身欠きふぐの刺身の引き方についてご説明しましょう。
身欠きふぐを捌く際にはまずボイルする事から始めます。
ボイルと言ってもグツグツ沸騰したお湯の中で湯がくようなボイルではなく、湯引きに近いイメージで良いかと思います。
例えば、沸騰したお湯の中に白皮と黒皮の厚い方を下にしてぶら下げます。
そのまま3秒ほど浸けましょう。
その後手を放して、身欠きふぐ全体を4秒ほどボイルします。
この時季節によってボイルする時間を変えるのがポイントですので、夏場は3秒ほどで大丈夫です。
ボイルした身欠きふぐをお湯から取り出し、水の中で揉みながら附着しているごみなどを、綺麗に洗い流しましょう。
水で綺麗に洗い流した後は、粗熱を取るため氷水をあらかじめ用意しておき、その氷水に入れて冷やすようにしましょう。
次に、少し厚いやや赤みがかった皮と、ねずみ色の皮も8秒ほどボイルしましょう。
この時も夏場と冬場ではボイルの時間を変えるのがポイントです。
ちなみに、夏場は6秒ほどのボイルで大丈夫です。
ボイルが済んだら、皮も水の中で揉み洗いをした後に氷水に入れ冷やしましょう。
■捌き
ボイルが済んで、良く粗熱を取ったらいよいよ捌きます。
捌く際には骨が硬いので、出刃包丁を使い切り落とすようにしましょう。
この際に出刃包丁ではなく刺身包丁などで捌いてしまうと、骨が非常に硬いため刃先がボロボロになりますので注意しましょう。
また骨が硬いので、怪我などにも注意が必要です。
もしも、包丁で捌くのがけがをしそうで怖い時には、調理バサミでも切り落とす事が「できますので、使用してみてください。
ハサミだと握力で切るイメージですので、やや手が疲れるかもしれませんので、出刃包丁で捌くのが怪我にさえ気をつければ、疲れが出にくいのでお勧めですよ。
■3枚におろす
ボイルが終わったら、いよいよ3枚におろしていきましょう。
通常の魚であれば、骨にあまり身が残らないようにして、おろしていきますが、ふぐの場合は、骨に身が残らないようにして捌くと、小骨が身に残ってしまいます。
小骨が身に残ってしまうと刺身を引く際に、骨が邪魔して上手く刺身が引けなくなります。
それを防ぐために、三枚におろす際には、骨に若干身が残るようにおろしましょう。
勿体ないと思われるかもしれませんが、身が残っている骨はちり鍋に入れると美味しく食べる事ができますし、唐揚げにしても美味しいですよ。
■薄く切る
三枚におろしたふぐは、刺身を引きやすくするために身の3分の1ほどのところで柵取りましょう。
身の高い方を向こう側にして、尾を手前にして尾の方から包丁を引くようにして薄く切っていきます。
この時包丁をしっかりと身に当て、まな板に押し付けるようにしてゆっくりと引き、同じ大きさになるようにする事が大切です。
あまり厚くなりすぎると、なかなか噛み切れませんので、できる限り薄く引きましょう。
盛り付ける際には、右から左に並べ、身の端が少し重なるようにして並べると綺麗に見えるようなので試してみてはいかがでしょう。
この様に、身欠きふぐを捌く際には、コツや注意する点がいくつかありますが、やはり一番は怪我に気を付けて捌いていただければと思います。